術中MRIは下垂体腺腫手術における腫瘍摘出度の向上に寄与する

公開日:

2017年7月21日  

Analysis of 137 patients who underwent endoscopic transsphenoidal pituitary adenoma resection under high-field intraoperative magnetic resonance imaging navigation.

Author:

Zhang H  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, Chinese PLA General Hospital, Beijing, China

⇒ PubMedで読む[PMID:28434959]

ジャーナル名:World Neurosurg.
発行年月:2017 Apr
巻数: [Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

中国のZhangらは術中MRI(1.5T)を用いた,内視鏡下下垂体腺腫摘出術(n=137)について検討した.術中MRIの適応は大きな腫瘍(腫瘍径平均38mm)で,再発腫瘍,海綿静脈洞へ進展した腫瘍,あるいは複雑な形状をした腫瘍などとした.

【結論】

全137例のうち,術中MRIにて腫瘍の残存が確認された症例は45例(33%)であった.その内,腫瘍の追加摘出を行った症例は23例.その内,全摘出に至った症例は19例であった.
術中MRIにて腫瘍の残存を認めなかった92例と追加摘出で全摘出した19例において,術後3ヵ月目MRIで腫瘍の残存は認めなかった.

【評価】

本稿では,大きくかつ摘出の難しい下垂体腺腫において,術中MRIが摘出率の向上に寄与することを示した.下垂体腺腫における術中MRIの有用性については,過去にも報告されてきた.また,術中MRIの性能は年々向上しており,その有用性はこれから明らかになっていく可能性もある.今後,下垂体腺腫に対する術中MRIについては,適応症例の選別,撮像方法の適切な選択,腫瘍と出血などの鑑別(偽陽性の判別)などについて,さらに症例の蓄積,検討が期待される.
しかし,2016年にCongress of Neurological Surgeonsが示したガイドラインでは,非機能性下垂体腺腫に対する術中MRIについて否定的なコメントが記載されている(文献1).この理由として,過去の報告では症例数が少ないこと,術中MRIが有用な下垂体腺腫は限られることなどが考えられる.
一方,この方法が,広く受け入れられるようになるためにはランダム化試験は必須である.なぜなら,あらかじめ術中MRIを撮ることがわかっていると,少し残存腫瘍があるかもしれない段階で術中MRIに進み,その結果,残存腫瘍が多数例で発見されるというバイアスが生じる可能性は高い.このバイアスを克服するためには,術中MRIが出来る環境で摘出手術を終了し,その後ランダムにMRI撮像群(必要があれば追加摘出)とそのまま手術を終了する群とに分けて,手術時間,合併症率,下垂体機能,在院日数,術後3ヵ月目の残存腫瘍を2群間で比較するというスタディー・デザインが必要だと思うが,いかがだろうか.

執筆者: 

木下康之   

監修者: 

有田和徳

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