術中MRIによる視交叉のfractional anisotropyとvolumeの変化によって術後視機能回復を予測できる

公開日:

2017年8月9日  

最終更新日:

2017年8月8日

Prognostic significance of intraoperative change in the fractional anisotropy and the volume of the optic chiasma during resection of suprasellar tumors.

Author:

Metwali H  et al.

Affiliation:

International Neuroscience Institute, Hannover, Germany

⇒ PubMedで読む[PMID:28644103]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2017 Jun
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

拡散テンソル画像の定量化パラメーターの1つとして拡散異方性fractional anisotropy(FA)があり,大脳白質や脳神経の評価・研究に用いられている.
本稿ではハノーファーのMetwaliらが術中MRI(1.5T)を用いて,下垂体腫瘍(n=28)の摘出前後に視交叉FAと視交叉体積を測定した.また,術前,手術直後(10-14日後)および3ヵ月後の視機能をVisual Impairment Score(VIS)を用いて評価し,視交叉FA値・体積とVISとの関連性について検討した.

【結論】

腫瘍摘出後に視交叉FA値は低下し,視交叉体積は増加した.FA値の低下幅と体積の増加幅は,術後(手術直後および3ヵ月後)のVIS改善と優位な相関を認めた.一方,腫瘍摘出前のFA値と術前VIS,摘出後のFA値と術後VISにそれぞれ関連性は認めなかった.

【評価】

下垂体腫瘍に対する術中MRIについては,個々の論文でその有用性が報告されている.しかし,エビデンスレベルは低く,下垂体腫瘍に対する術中MRIの有用性についてはまだコンセンサスが得られていない.本稿では術中MRIを残存腫瘍や術後出血の評価に用いるのではなく,術後の視機能回復の予測手段に用いるという新たな利用価値を示した.
本研究では腫瘍摘出前後で2回の術中MRIを施行している.頭部の固定位置,ガントリーの傾斜などを同一にし,腫瘍摘出前後の視交叉を厳密に比較している.しかし,術中MRIの撮像には時間と労力を必要とする.通常の手術前後のMRIの比較ではなく,術中MRIの比較であることに,どれほどの優位性があるのか今後明らかにする必要がある.

執筆者: 

木下康之   

監修者: 

有田和徳

関連文献


メールで読みたい方はこちら

メルマガ登録する