初期治療後に再増大した非機能性下垂体腺腫のその後

公開日:

2017年9月16日  

Outcome of Nonfunctioning Pituitary Adenomas That Regrow After Primary Treatment: A Study From Two Large UK Centers.

Author:

Tampourlou M  et al.

Affiliation:

Institute of Metabolism and Systems Research, College of Medical and Dental Sciences, University of Birmingham, Birmingham, United Kingdom

⇒ PubMedで読む[PMID:28323946]

ジャーナル名:J Clin Endocrinol Metab.
発行年月:2017 Jun
巻数:102(6)
開始ページ:1889

【背景】

非機能性下垂体腺腫(CNFA)の初期治療後に,腫瘍再発・再増大(以下,合わせて再増大と記載)をきたすことは珍しくない.さらに再々増大,再々々増大する症例もあるがその実態は明らかではない.
本稿はイギリスの2つの施設から,初期治療後に再増大をきたしたCNFA 237例の長期成績を示した.

【結論】

再増大例237例のなかで明らかな残存腫瘍を認めていたのが223例(94%)であった.そのうち30例は,初期治療で放射線治療(RT)を行っていた.
再増大時の治療は手術33例,RT58例,手術+RT50例,経過観察95例で,中央値5.9年の追跡期間で90例が再々増大した.5年再々増大率は35.3%であった.再々増大のリスク要因は追加治療を行わなかったこと(経過観察)と女性であった.
追跡できた再々増大例88例の治療は手術31例,RT8例,手術+RT11例,経過観察38例で,中央値4.3年の追跡期間で22例が再々々増大した.5年再々々増大率は26.4%であった.

【評価】

本稿では多数例に基づき,CNFA再増大例の長期成績を明らかにした.再々増大,再々々増大をきたす症例は経過観察例で多く,RT治療を追加した症例で少ないことは容易に予想できる結果である.
論文中の図によると再増大が明らかになった時点で経過観察を選択した場合,5年再々増大率は約65%,10年再々増大率は約80%である.すなわち,個々の症例によるが,腫瘍の再増大を認めた場合は何らかの追加治療が必要になる可能性が高いといえる.
しかし,再々増大はRTあるいは手術+RTを追加で行った症例でも少なからず生じている.RTを施行するような症例は,手術による腫瘍全摘腫が難しい症例が多く,再増大時にどのような治療を選択するのか難しい問題である.
長期成績から振り返って考えると,CNFAも機能性腺腫と同様に初期治療が重要であるといえる.初回手術においてCNFAを機能性腺腫と同等に扱うべきではないと考えるが,CNFAでも初回手術での腫瘍全摘出に優る治療はない.全摘出可能なCNFAにおいて確実に腫瘍を摘出するために,機能性腺腫では一般的な手技となった被膜外腫瘍摘出をCNFAに応用した報告もある(参考文献1).
一方,本報告の放射線照射法は2例を除いてすべて旧来の多分割外照射であるが,本邦では放射線照射が必要な症例では,多くの場合,定位的な放射線照射が実施されているという現状があり,射後の再々増大,再々々増大率は本報告とは異なる可能性が高い.
なお,女性が再々発のリスク因子であるとの結果であったが,その理由については考察されていない.
一般に下垂体腫瘍の中に占める下垂体癌の頻度は0.1%とまれであるが,再増大例237例中でも,悪性化を示したものは2例のみ(0.8%)であったという事実も,貴重な臨床情報である.

執筆者: 

木下康之   

監修者: 

有田和徳

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