プロラクチノーマに対するドパミンアゴニストを中止できる症例は?

公開日:

2017年10月16日  

最終更新日:

2017年10月17日

Prolactinoma management: predictors of remission and recurrence after dopamine agonists withdrawal.

Author:

Teixeira M  et al.

Affiliation:

Faculty of Medicine, University of Porto, Porto, Portugal

⇒ PubMedで読む[PMID:28523537]

ジャーナル名:Pituitary.
発行年月:2017 Aug
巻数:20(4)
開始ページ:464

【背景】

プロラクチノーマ(PRLoma)に対してドパミンアゴニスト(DA)による薬物療法は広く行われている.また,一部の症例では薬物療法によってPRLomaの根治が得られることも知られている.しかし,どのような症例で根治が得られるのか?薬物投与を中止する時期は?中止時には投与量を漸減すべきか?などの疑問に対する答えはまだコンセンサスが得られていない.
本稿ではPRLoma 142例をDAの投与を中止した症例としなかった症例,中止した症例の中で寛解した症例と再発した症例に分けて後方視的に検討した.

【結論】

PRLoma 142例のうち,DAの中止を試みた症例は50例(35.2%)であった.DAの中止を試みた症例群では女性が多く,診断時PRL値が低く,microadenomaが多く,薬物療法の期間が長かった(p<0.05).
DAの中止を試みた50例のうち,DA中止のまま寛解を維持した症例は36例(72.0%)であった.DAの中止後に再発した症例ではmacroadenomaが有意に多かった.また,有意差はないものの再発例では診断時PRL値が高く,薬物療法の期間が短い傾向にあった.

【評価】

本稿の特徴として薬物療法の中止を試みた症例が全体の35%と少なく,おそらく症例選択にバイアスがかかっていること,治療期間は薬物療法中止を試みた症例で平均9.86年,薬物療法を継続している症例で平均6.98年と長い傾向にあることを理解しておく必要である.
PRLomaの薬物療法中止の判断基準については,過去にいくつも報告されているが,報告によって薬物療法の期間,治療期間中のPRL値,MRIにおける残存腫瘍の有無などの基準は様々で,まだ一定の見解が得られていない.
またガイドラインとしても2つの報告がある.1つ目は2006年Pituitary Society guideline(参考文献1)より①3年以上のPRL値の正常化,②腫瘍体積の著明な減少が認められる,の条件を満たす場合は薬物の漸減,中止を試みてもよいとされる.2つ目は2011年Endocrine Society guideline(参考文献2)より①2年以上PRL値が上昇しない,②MRIで腫瘍が認められない,の条件を満たす場合は同様に薬物の漸減,中止を試みてもよいとされている.ガイドラインでも薬物療法中止を判断する基準が一定ではないと言える.さらにいえば,薬物療法を中止後,PRL値の上昇はどの程度まで許容されるのか,性別や年齢によって許容範囲は異なると予想され,臨床的には大切なポイントであると考えられる.PRLomaに対してDAによる治療が一般的となるなか,薬物治療の出口戦略についてもさらなる検討が求められる.

執筆者: 

木下康之   

監修者: 

有田和徳

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