下垂体卒中における蝶形骨洞粘膜の微生物叢は非卒中例と違う

公開日:

2017年10月17日  

最終更新日:

2017年10月17日

Sphenoid sinus microbiota in pituitary apoplexy: a preliminary study.

Author:

Humphreys GJ  et al.

Affiliation:

School of Health Sciences, Faculty of Biology, Medicine and Health, The University of Manchester, Manchester, UK

⇒ PubMedで読む[PMID:28853001]

ジャーナル名:Pituitary.
発行年月:2017 Aug
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

先行報告(参考文献1)と同様,著者らも最近,下垂体卒中で高率に蝶形骨洞粘膜の肥厚が起こることを報告している(参考文献2).しかし,下垂体卒中における蝶形骨洞粘膜の肥厚が何故起こるのかは,未だ不明である.Manchester大学のHumphreys GJらは下垂体卒中患者における蝶形骨洞粘膜微生物叢を非機能性下垂体腺腫の非卒中例と比較した.対象は下垂体卒中例5例(4例は典型的,1例は非症候性)と非機能性下垂体腺腫5例.蝶形骨洞粘膜からDNAを抽出し,遺伝学的方法によって細菌叢を決定した.

【結論】

下垂体卒中例では、常在気道細菌叢としては非定型的なEnterobacter属菌(n=3)やEscherichia coli(n=1)が認められ,一方,非卒中の非機能性下垂体腺腫では健常者に認められるStaphylococcus epidermidis(n=2)かCorynebacterium属菌(n=2)が認められた.すなわち下垂体卒中患者の蝶形骨洞粘膜には,一般の蝶形骨洞炎の患者に認められるのと同様の細菌叢が認められた.

【評価】

下垂体卒中急性期に高頻度で認められる蝶形骨洞粘膜肥厚に対する,初めての細菌学的検討である.この結果,下垂体卒中急性期の蝶形骨洞粘膜には病的な細菌叢が存在することが明らかになった.
この事実が示すものは何か.下垂体卒中の発症に,このような病的な細菌叢の存在やそれによる蝶形骨洞炎が関与しているのか.
著者等は,周術期に使用する抗生剤の影響を考慮して,細菌培養は行っていないが,術前投与控えて,蝶形骨洞粘膜採取の後に抗生剤投与を開始するという条件で,細菌培養は行っても良いだろう.
いずれにしても,より大規模な患者群で検討されるべきテーマである.

執筆者: 

有田和徳

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