USP変異を有する小児クッシング病は再発が多い

公開日:

2017年10月17日  

最終更新日:

2017年10月17日

Somatic USP8 Gene Mutations Are a Common Cause of Pediatric Cushing Disease.

Author:

Faucz FR  et al.

Affiliation:

Section on Endocrinology and Genetics, Eunice Kennedy Shriver National Institute of Child Health and Human Development, National Institutes of Health, Bethesda, Maryland, USA

⇒ PubMedで読む[PMID:28505279]

ジャーナル名:J Clin Endocrinol Metab.
発行年月:2017 Aug
巻数:102(8)
開始ページ:2836

【背景】

脱ユビキチン化に関わるUSP8の機能獲得型変異は成人クッシング病(ACTH産生腺腫)の約4割〜6割に認められる(参考文献1,2,3).一方,小児クッシング病における頻度や臨床像との関わりは明らかではない.NIHのFauczらは小児クッシング病42例を対象にこのことを検討した.

【結論】

18歳以下の小児クッシング病42例中13例(31%)に5つのタイプのUSP8変異が認められた.変異はいづれも,エクソン14に局在していた.変異例の初発年齢は非変異例に比べて有意に高かった(15.1±2.1 vs 13.1±3.6歳, p = 0.03).尿中自由コルチゾル値,深夜血清コルチゾル値,ACTH値,腫瘍径,海綿静脈洞浸潤の頻度は二群間で差が無かった.再発は変異例の方が多かった(46.2% vs 10.3%, P = 0.009).

【評価】

クッシング病に伴うUSP8変異に関わる5つ目の報告である.小児クッシング病におけるUSP8変異群には約半数に再発が認められるので,この変異をターゲットした治療法の開発が望まれるとの結論である.
先行する日本からの成人のクッシング病の研究では(参考文献2),USP8遺伝子変異腫瘍では女性,非クルッケ細胞腺腫,微少腺腫が多く,POMC・SSTR5・MGMTの発現が高いなどの特徴を報告している.本研究でもUSP8遺伝子変異腫瘍は女性患者に多かった(84.6%).本研究では,先行研究と異なり,USP8遺伝子変異腫瘍の腫瘍径は大きい傾向にあった(8.06±7.0 vs. 5.46±5.4, p = 0.2).大きい腺腫の方が,充分量の試料が得られ,結果として分子遺伝学的検索で陽性となりやすいのかも知れない.
治療法としてはUSP8変異群ではEGFRが過剰駆動されている状態であるので,今後,ゲフィニチブなどの抗EGFR薬の効果が試される可能性がある.また,USP8遺伝子異常群では,SSTR5の発現が高いこと,MGMT発現が低いことこも報告されているので(参考文献2),パシレオチドやテモゾロミドが有効である可能性がある.
小児も含めたクッシング病(ACTH産生腺腫)におけるUSP8変異腫瘍の分子病理学的特徴,臨床像,治療法の開発についてはまだまだ,検討が続けられなければならない.

執筆者: 

有田和徳

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