SSTR陽性なのにソマトスタチン誘導体が効かない成長ホルモン産生下垂体腺腫:アレスチンの関与

公開日:

2018年1月2日  

最終更新日:

2018年1月2日

Low beta-arrestin expression correlates with the responsiveness to long-term somatostatin analog treatment in acromegaly.

Author:

Gatto F  et al.

Affiliation:

Department of Internal Medicine, Division Endocrinology, Erasmus Medical Center, Rotterdam, The Netherlands

⇒ PubMedで読む[PMID:26888629]

ジャーナル名:Eur J Endocrinol.
発行年月:2016 May
巻数:174(5)
開始ページ:651

【背景】

ソマトスタチン受容体2(SSTR2)が高発現していても,ソマトスタチン誘導体(SSAs:octreotideあるいはlanreotide)が効かない成長ホルモン産生腺腫が認められる(参考文献1,2).その理由として,腺腫のSSTR5/SSTR2比が高い,SSTR5切断型が多いなどの他,AIP,ZAC1,E-カドヘリン,RKIPの低発現などが推定されている.エラスムス・メディカルセンターのGattoらは,細胞内シグナル伝達制御蛋白の一つであるアレスチン(βアレスチン1 and 2)に注目し,SSTRならびにアレスチンの発現とソマトスタチン誘導体の効果の関係を検討した(n = 32).

【結論】

ソマトスタチン誘導体投与が有効な群では,抵抗群に比較してSSTR2/βアレスチン1比とSSTR2/βアレスチン2比は有意に高かった(P = 0.011 and P = 0.010).
SSTR2の発現はβアレスチン1,2 mRNAの発現と有意に逆相関した(ρ = –0.69,P = 0.0011 and ρ = –0.67,P = 0.0016).

【評価】

本研究によってβアレスチン1,2mRNAの低発現と,高いSSTR2/βアレスチン比がソマトスタチン誘導体の長期投与の効果と相関することが明らかになった.
βアレスチンは,SSTRもその一つであるG蛋白共役受容体(GPCR)の活性化制御(脱感作)をになう酵素である.リガンドが結合したGPCRは細胞膜に存在するG蛋白質(α,β,γ)と結合して,その下流のシグナルカスケードを促進する.βアレスチンは,リガンドと結合したGPCRの細胞質側の先端に結合し,G蛋白質との結合部位を塞ぎ,その活性化を妨げる.また,βアレスチンはリガンドに結合した受容体の内在化(internalization)を促進する.βアレスチンはこの二つの機構によって,GPCRの活性をコントロールしている.
βアレスチンはソマトスタチン誘導体と結合したSSTR受容体に対しても同様な機構でその活性化をコントロールしているものと考えられている(参考文献1,2).
本研究はβアレスチンの発現を定量RT-PCRで評価しているが,将来SSTR同様に,免疫染色での評価方法が確立されれば,臨床現場における,より簡便なソマトスタチン誘導体の長期効果予測が可能となるであろう.

執筆者: 

有田和徳   

監修者: 

木下康之

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