持続型成長ホルモン(Somapacitan,ソマパシタン)の小児における第1相試験

公開日:

2018年2月5日  

最終更新日:

2020年10月22日

Somapacitan, a once-weekly reversible albumin-binding GH derivative, in children with GH deficiency: A randomized dose-escalation trial.

Author:

Battelino T  et al.

Affiliation:

NN8640-4042 Study Group, Michael Højby Rasmussen, Global Development, Novo Nordisk A/S, Søborg, Denmark.

⇒ PubMedで読む[PMID:28656605]

ジャーナル名:Clin Endocrinol (Oxf).
発行年月:2017 Oct
巻数:87(4)
開始ページ:350

【背景】

ソマパシタンは成長ホルモンにアルキル化によって脂肪酸を結合したもので,脂肪酸の部分で血中のアルブミンと非共有結合するため分解されにくく,週に1回の皮下投与で,充分な成長ホルモン濃度の維持が可能となっている.成人成長ホルモン欠損症患者では既に,その安全性と有効性が示されている(文献1,2).しかし,小児においては,未だ安全性,血中薬物動態の評価は実施されていない.本試験は,小児を対象とした,主として安全性,忍容性に関する第1相試験である.対象は成長ホルモン分泌不全症と診断された32例の小児患者.

【結論】

24例がソマパシタン(週に1回皮下注,4種類の投与量:0.02・0.04・0.08・0.16 mg/kg,各6症例)に,8例がノルディトロピン(0.03 mg/kg,1日1回皮下注)に割り当てられた.
ソマパシタン群24例中4例で,注射部位に局所反応が認められた以外,有害事象は軽微であった.血中GH濃度中央値は投与量に応じて,しかし非直線的に上昇した(21.8 ng/mL〜458.4 ng/mL).IGF-1のSD値は一部を除いて-2〜+2の間に入った.抗ソマパシタン抗体や抗GH抗体は出現しなかった.

【評価】

ソマパシタンに関しては日本でも,成人成長ホルモン欠損症患者を対象とした,1日一回注射製剤とのRCT(Real1,Real2)が終了している.現在,これまでに毎日GH注射を受けていた患者を対象としたソマパシタンへの切り替え試験(Real JP,IIIa相)が進行中である.今後,成長ホルモン補充は,小児も含めて1日一回の皮下注射から,長時間作用型製剤の週に1回の皮下注に変わるかも知れない.しかし,適切な用量設定,長期間使用時における有害事象の出現の可能性,まだ検討すべき課題も多い.

執筆者: 

有田和徳   

監修者: 

藤尾信吾

参考サマリー