Atypical adenoma診断の臨床的意義は乏しい:系統的レビューの結果から

公開日:

2018年3月23日  

最終更新日:

2018年4月18日

Variability and Lack of Prognostic Value Associated With Atypical Pituitary Adenoma Diagnosis: A Systematic Review and Critical Assessment of the Diagnostic Criteria.

Author:

Chesney K  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, Keck School of Medicine of USC, Los Angeles, California, USA

⇒ PubMedで読む[PMID:29165661]

ジャーナル名:Neurosurgery.
発行年月:2017 Nov
巻数: [Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

2017年に発行されたWHO内分泌腫瘍の分類(第4版)によれば,もはやatypical pituitary adenoma(APA,異型性下垂体腺腫)という病理分類は推奨されず,aggressive adenomaという臨床概念が提案されている(参考文献1).しかし,atypical adenomaが本当に無益な概念かどうかに関しては,未だ十分な検証がなされていない.USCのChesney Kらは,これまで出版された8報告を基に,系統的レビューを行った.全下垂体腺腫症例7,105例中,APAは373例(5.2%:range 2.7〜18.7%)であった.

【結論】

これまでの研究ではAPAに関する共通の概念が欠如しており,8報告中2報告のみが,共通の診断基準が使用されていた.APAの84%がmacroadenomaで,52%がMRI上の浸潤が認められた.ホルモン産生能では,非機能性下垂体腺腫が最も多く(37%),プロラクチノーマ(23%),成長ホルモン産生腺腫(21%)が続いた.追跡期間 37〜75 ヵ月で,21%に再発や進行が認められた.APA診断と再発の関係を示唆したのは2報告のみであった.

【評価】

APAは2004年に提唱された①高倍率2視野で一個以上の核分裂像,②Ki-67陽性率>3%,③p53陽性,で定義される下垂体腺腫の病理分類である(参考文献1).レビューの対象となった8本の報告のうち,APA診断と再発の関係を示唆したのは2報告のみで,1本はAPA症例ではtypical adenomaと比して再発率が7倍であることを報告している(p<0.0001)(参考文献2).もう1本は,APAでは再発までの期間が短いことを報告している(p<0.001)(参考文献3).著者らは,本レビューの結果から,APA診断基準に報告間でバラツキがあること,APA診断と再発との正相関の報告が乏しいことを根拠にAPAという病理分類の放棄とWHO新版が提案するaggressive adenomaという臨床分類の受け入れを支持する.また,APA診断の柱であるKi-67免疫染色の標準化が達成されておらず,その陽性率が施設間で大きく異なることも問題点として取り上げている.しかし,APAは病理分類であり,aggressive adenomaという臨床分類と,入れ替えが成立するのか,いささか疑問である.
新しいWHOのテキストでも,核分裂像とKi-67陽性率はaggressivenessを示唆するマーカーとして推奨されており,今後Ki-67免疫染色の標準化とともに,従来の3%に代わる,新たな閾値の設定がされることを望みたい.一方で,新たに提案されたaggressive adenomaも各因子の数量化と総合スコアリングによって診断される日が来ることを望みたい.

執筆者: 

藤尾信吾   

監修者: 

有田和徳

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