下垂体部黄色肉芽腫の術前MRI診断は可能か

公開日:

2018年4月16日  

最終更新日:

2018年4月23日

Pituitary xanthogranulomas: clinical features, radiological appearances and post-operative outcomes.

Author:

Ved R  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, University Hospital of Wales, Cardiff, UK

⇒ PubMedで読む[PMID:29363000]

ジャーナル名:Pituitary.
発行年月:2018 Jan
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

下垂体部黄色肉芽腫の報告は増えているが,いまだにその術前診断は困難である.ウェールズ大学のVedらは,自験の経鼻経蝶形骨洞手術症例295例中で経験した6例(2%)を対象として,画像所見,臨床像等からこの課題に挑戦した.

【結論】

共通の画像所見は,囊胞性で,T1高信号であった.造影は辺縁部が3例,びまん性が3例.6例中,高プロラクチン血症か副腎皮質機能不全は4例.2例が尿崩症.手術後4例に副腎皮質機能不全が認められ,4例にゴナドトロピン不全が認められた.全例に視機能障害が認められたが,手術によって全て正常化した.全例で,肉眼的全摘出が達成でき,手術後33.5ヵ月で,再発は認められない.

【評価】

まず,黄色肉下種の頻度が全下垂体部腫瘍性病変のうち2%と従来の報告より高いことを指摘しておく必要性がある.強い炎症や出血を繰り返したラトケ嚢胞や頭蓋咽頭腫との鑑別が確実になされているのか気になるところである.
本研究の結果をまとめると,下垂体部黄色肉芽腫の特徴は,過去の報告と同様に(文献1)患者の平均年齢は27歳と若く,MRIでは囊胞性でT1高信号,内分泌学的には後葉系を含めて下垂体機能が高頻度に障害されることである(文献2).ラトケ嚢胞との違いは,嚢胞壁の造影が認められることとしている.しかし,強い下垂体炎を伴ったラトケ嚢胞は壁の造影が認められることがあり,上記の特徴に注目しても,鑑別は困難かもしれない.また,完全囊胞性でない黄色肉芽腫や,T1等信号のものも報告されており,黄色肉芽腫の画像所見はもう少し多彩と考えた方が良い.海綿静脈洞への浸潤の不在と石灰化の不在も,下垂体部黄色肉芽腫の特徴として,既に報告されている(文献2).
一方,既に下垂体機能が障害されているのであるから,全摘は容易であるし,肉芽性疾患であるから再発がないのは,予想範囲である.本論文の問題点として下垂体機能評価法が明示されていないので,示されたデータが検証出来ない点が上げられる.特に副腎皮質機能不全が4例あるのに,成長ホルモン分泌不全が1例のみというのはやや不自然の感がある.以上のように,多少問題のある論文であるが,この病変の希少さと診断の困難さ(強い炎症を伴うラトケ嚢胞,頭蓋咽頭腫との鑑別(文献3))を考慮すれば致し方ないのかもしれない.ただし考察の中の総説は良くまとまっていて,大変良い.

執筆者: 

有田和徳   

監修者: 

藤尾信吾

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