下垂体部黄色肉芽腫の画像と臨床像:自験14例の解析

公開日:

2018年4月24日  

最終更新日:

2018年4月27日

Clinicoradiologic Features and Surgical Outcomes of Sellar Xanthogranulomas: A Single-Center 10-Year Experience.

Author:

Yang B  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, Beijing Tiantan Hospital, Capital Medical University, Beijing, China

⇒ PubMedで読む[PMID:27993745]

ジャーナル名:World Neurosurg.
発行年月:2017 Mar
巻数:99
開始ページ:439

【背景】

下垂体部黄色肉芽腫は1988年Shirataki(文献1)らによって初めて報告された稀な病態であり,まだ画像上の特徴,臨床像が明らかになっておらず,特に術前にラトケ囊胞や頭蓋咽頭腫と鑑別することは容易ではない.Beijing Tiantan HospitalのYang Bらは,過去10年間(2006〜2016)に経験した自験の14例をもとに,画像所見,臨床像の特徴から鑑別の要点をまとめた.

【結論】

症例は男性9例,女性5例であり,平均年齢は29.2歳であった.臨床症状は頭痛(n=12; 85.7%),視機能障害(n=10;71.4%),内分泌障害(n=6;42.9%)であった.MRI上,T1強調像では等〜高信号で,様々な造影程度を示す.T2では,高信号か不均質な信号強度を示した.全摘あるいは亜全摘が全例で達成でき,術後52.9ヵ月の経過観察期間で再発はない.視機能障害は7割(70%)で改善したが,内分泌症状は2例(33.3%)でしか改善しなかった.

【評価】

Yangらは自験の14例の経験を基に,T1強調像で内部のコレステロールを反映して高信号から等信号を呈する, T2での様々な信号強度,様々な造影のされ方,石灰化の不在に注目すればトルコ鞍部黄色肉芽腫は術前画像で診断可能であると主張する.しかし,頭蓋咽頭腫,炎症を伴うラトケ囊胞,囊胞性下垂体腺腫も同様の所見は呈し得る.実際,頭蓋咽頭腫の3割以上は,強い黄色肉芽腫様変化を伴っているとの報告もある(文献2).
既に強い下垂体機能障害を呈している非腫瘍性の病変であるから,摘出率は高く,再発がないのは当然である.
一方,下垂体ホルモン分泌能に関しては,本研究においてどのような負荷試験,基準を用いているか不明なので,検証のしようがない.トルコ鞍部黄色肉芽腫については,本研究者が所属する年間500例以上の下垂体手術を行うような大きなセンターからの報告でも10例前後のケースシリーズに過ぎないので,今後は多施設での横断的な研究が望まれる.その場合,病理学的診断基準,画像所見の評価方法,下垂体機能の評価方法については統一されなければならない.

執筆者: 

有田和徳   

監修者: 

藤尾信吾

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