トルコ鞍内圧は下垂体腺腫における頭痛と関連する

公開日:

2018年5月14日  

最終更新日:

2018年5月15日

Contribution of Intrasellar Pressure Elevation to Headache Manifestation in Pituitary Adenoma Evaluated With Intraoperative Pressure Measurement.

Author:

Hayashi Y  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, Graduate School of Medical Science, Kanazawa University, Kanazawa, Japan

⇒ PubMedで読む[PMID:29618106]

ジャーナル名:Neurosurgery.
発行年月:2018 Mar
巻数: [Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

頭痛は下垂体腺腫に伴って良く認められる症状であるが,その成因は明確ではない.金沢大学のHayashiらは,トルコ内圧と頭痛の関係を検討した.初回経蝶形洞手術症例を対象に頭蓋内圧測定センサーを用いてトルコ鞍内圧を測定した.

【結論】

頭痛があった30人では,そうでなかった78人と比較して,トルコ鞍内圧は有意に高かった(35.6 ± 9.2 mm Hg vs. 15.8 ± 5.2 mm Hg,p<0.001).鞍底開放後のトルコ鞍内圧の低下は,非頭痛群より頭痛群で高かった.頭痛群では海綿静脈洞への浸潤は少なく,鞍隔膜裂孔は狭小で,囊胞や出血を伴っているものが多かった.

【評価】

報告者らは下垂体腺腫における頭痛の原因は,トルコ内圧亢進によるトルコ鞍部硬膜への伸展刺激であるという.解りやすい明快な結論である.本文中ではトルコ内圧は,比較的小型の腫瘍,海綿静脈洞浸潤のないもの,鞍上部伸展のないもの,蝶形骨洞の含気が乏しいもの(presellar や conchal type),プロラクチン値が高いもので有意に高かった(p<0.001).しかし,元来小さな体積の下垂体腺腫に小なりといえども,さらに体積増加の原因となるセンサーを挿入したことによる体積増加→トルコ内圧上昇の影響は無視出来ないと思われる.また,易出血性の下垂体腺腫にセンサーの挿入によって,小出血をきたし,それが,トルコ鞍内圧の上昇を来す可能性はもある.さらに,センサーの先端が何に接しているか(柔らかい組織か繊維性の組織か)や,センサーの保持法によってもトルコ鞍内圧は大きく異なってくるはずである.今後,これらの点にも配慮した他施設での追試の結果を待ちたい.一方で,下垂腺腫の種類(産生ホルモン,異型性,densely or sparsely)による頭痛とトルコ鞍内圧の違いについては,より多数例での検討が必要になるであろう.

執筆者: 

有田和徳   

監修者: 

藤尾信吾

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