非機能性下垂体腺腫における術後下垂体体積は下垂体機能の回復と相関するのか

公開日:

2019年1月30日  

最終更新日:

2019年2月6日

Endocrine function and gland volume after endoscopic transsphenoidal surgery for nonfunctional pituitary macroadenomas.

Author:

Harary M  et al.

Affiliation:

Pituitary and Neuroendocrine Center, Department of Neurosurgery, Brigham and Women's Hospital, Harvard Medical School, Boston, Massachusetts.

⇒ PubMedで読む[PMID:30497144]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2018 Nov
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

非機能性下垂体腺腫において,術前の下垂体機能と相関し,手術後の改善を予測する因子については,これまでも議論されてきたが(文献1,2,3,4),結論を見ていない.Brigham and Women病院のチームは自験の160例(女性47.5%)を基に,この点を検討した.腫瘍径は中央値22.5 mm (IQR:18.0~28.8),術前下垂体体積は中央値0.18 cm³(IQR:0.13~0.28).

【結論】

術前,56.9%の患者が下垂体ホルモンのうち最低1系統の分泌障害を示した.多変量解析では,高齢者と男性が術前の下垂体機能低下の独立予想因子であった.24.4ヵ月(IQR:3.2~51.2)の追跡期間中に,55%の患者で,少なくとも1系統のホルモン分泌が改善した.下垂体機能の改善までの期間は12.2ヵ月(中央値)で,甲状腺ホルモンの回復が最も遅かった.若年,男性,小さな腫瘍が下垂体機能の改善と関係していた.手術後,下垂体体積は有意に増大した(0.18 cm³から0.33 cm³)が,手術後の下垂体の大きさと下垂体機能の改善は相関しなかった.

【評価】

いくつかの問題がある論文で,最も懸念されるのは下垂体ホルモンの分泌障害の判断である.負荷試験に基づいていないのは仕方がないかも知れないが,ワンポイントの測定すら行わずに,現場でホルモン補充を行っていれば,その系統は分泌障害,手術後も補充が中止になっていれば,その系統は分泌改善と評価しているケースも含まれているという.
その結果,若年者と腫瘍径が小さいものは手術後の回復が期待出来るという結論を示している.手術後のホルモン分泌の回復まで1年を要する例があることも既に知られているところである.本論文では1年後も改善例がある事を示した点では新奇性があるが,手術後1~2年経って,なんとなくホルモン補充を止めたのも改善例に含まれている可能性がある.
論文のタイトルを見て,手術後の下垂体体積と下垂体機能の回復が相関するのか!と期待したが,結果はdisappointingなものであった.唯一の救いは,手術後の下垂体体積が大きいものでは新たな下垂体機能の障害は少ないという,当然の事実を改めて確認したという点であろう.

執筆者: 

藤尾信吾   

監修者: 

有田和徳

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