非機能性下垂体腺腫に対する経蝶形骨洞手術後の遅発性低Na血症を予測する因子

公開日:

2019年7月2日  

最終更新日:

2019年7月5日

Predictive Factors for Delayed Hyponatremia After Endoscopic Transsphenoidal Surgery in Patients with Nonfunctioning Pituitary Tumors: A Retrospective Observational Study.

Author:

Yoon HK  et al.

Affiliation:

Department of Anesthesiology and Pain Medicine, Seoul National University College of Medicine, Seoul National University Hospital, Seoul, Korea

⇒ PubMedで読む[PMID:30465961]

ジャーナル名:World Neurosurg.
発行年月:2019 Feb
巻数:e1457
開始ページ:

【背景】

経蝶形骨洞手術(TSS)術後の遅発性低ナトリウム血症(低Na血症)はよく知られた術後合併症の1つである.頭痛や嘔気,重症の場合は意識障害や痙攣をきたすことがあり,低Na血症の発症を予測することは極めて重要である.本研究では非機能性下垂体腺腫234例において,術後低Na血症(Na<135mEq/L)の予測因子を検討した.

【結論】

術後低Na血症は53例(22.6%)に認められた.その内,5例は低Na血症のため再入院となった.低Na血症の独立した予測因子は60歳以上(Odds比2.22),術後1~2日目のNa底値(Odds比0.88),手術時間(Odds比1.01)であった.

【評価】

本稿では低Na血症の予測因子として60歳以上,術後1~2日目Na底値,手術時間が挙げられた.高齢が低Na血症のリスクファクターとなる点については,2011年に広島大学のグループが報告し(文献1),最近では岡山大学からも報告されている(文献2).高齢が低Na血症の原因となる機序については明らかになっていないが,加齢に伴い浸透圧の変化に対するAVPの感受性が亢進しているとの報告もあり(文献3),高齢者で術後低Na血症が多い1つの要因である可能性が指摘されている.
2つ目の因子である術後1~2日目Na底値については,低Na血症をNa<135mEq/Lと定義しているため予想されうることであり,血清Na値の低下幅にも注目する必要があると考えられる.3つ目の因子である手術時間については,長い手術操作がホルモン分泌能に影響を及ぼすという可能性が考察されている.大きな腫瘍で術後低Na血症が多いという報告もある.手術時間そのものが直接の因子ではなく,術中輸液量や摘出操作の時間,手術手技などが反映している可能性がある.

執筆者: 

木下康之   

監修者: 

有田和徳

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