高齢者非機能性下垂体腺腫の術後視機能に白内障手術歴が影響する

公開日:

2019年7月4日  

最終更新日:

2019年7月5日

Characteristics of Preoperative Visual Disturbance and Visual Outcome After Endoscopic Endonasal Transsphenoidal Surgery for Nonfunctioning Pituitary Adenoma in Elderly Patients.

Author:

Watanabe T  et al.

Affiliation:

Departments of Neurosurgery, Faculty of Medicine, University of Miyazaki, Miyazaki, Japan

⇒ PubMedで読む[PMID:30849556]

ジャーナル名:World Neurosurg.
発行年月:2019 Mar
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

社会の高齢化に伴い,高齢者非機能性下垂体腺腫(NFPA)の患者は増加している.高齢者NFPAの手術適応を決める上で,視機能障害の有無は重要である.さらに視機能障害の改善を術前に予測することができれば,極めて有用な情報となる.
本稿は宮崎大学から高齢者非機能性下垂体腺腫の術後視機能の転帰を予測する因子について検討した報告である.対象は内視鏡下経鼻手術を施行した35例のNFPAで,高齢者群(70歳以上 n=12)と若年者群(70歳未満 n=23)に分類した.Visual Impairment Score(VIS)を用いて,術前後の視機能を評価した.

【結論】

① VISスコアの改善率は高齢者群(91%)と若年者群(80%)の間に有意な差を認めなかった.
② 術前と術後のVISスコアは相関し,術前の視機能が悪いほど術後の視機能も悪かった.
③ 術前・術後のVISスコアは両者とも若年者群と比較し高齢者群で有意に高かった(視機能が悪かった).
④ 若年者群と比較し高齢者群では有意に白内障手術歴が多く,また,白内障手術歴を有する症例ではVISスコアは有意に高かった(視機能が悪かった).

【評価】

本研究の趣旨は白内障手術歴のある高齢者非機能性下垂体腺腫の患者は,下垂体腺腫の発見が遅れ,術前から視機能が悪い.そのため結果的に術後の視機能も悪くなっており,高齢者における下垂体腺腫の早期診断・治療の必要性を訴えている.また別に,50歳以上で視路を圧迫する下垂体腺腫を有する患者では同時に白内障手術を受ける症例が多いという報告もある(文献1).白内障と下垂体腺腫による視機能障害が適切に鑑別されていない可能性がある.
筆者の経験でも白内障のみならず,緑内障や加齢黄斑変性症などに罹患している影響で,長く眼科で治療を受けていたにもかかわらず,下垂体腫瘍の発見が遅れた症例は珍しくない.手術後の視機能は手術前の視機能によるところが大きく,術後思うように視機能が回復しなかった例もある.高齢者における非機能性下垂体腺腫の早期診断と適切な治療には眼科医との連携が不可欠である.

執筆者: 

木下康之   

監修者: 

有田和徳

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