先端巨大症患者の生命予後,最近は健常者と有意差がない:メタアナリシス

公開日:

2019年7月17日  

最終更新日:

2019年7月26日

Mortality in acromegaly decreased in the last decade: a systematic review and meta-analysis.

Author:

Bolfi F   et al.

Affiliation:

Department of Internal Medicine, Botucatu Medical School, State University/UNESP, Sao Paulo, Brazil

⇒ PubMedで読む[PMID:29764907]

ジャーナル名:Eur J Endocrinol.
発行年月:2018 Jul
巻数:179(1)
開始ページ:59

【背景】

先端巨大症患者の健常者と比較した生命予後は悪く,標準化死亡比(SMR)は1.5~2.5とされていた.集学的治療が実施されている今日でもそうなのか.ブラジルのBolfiらは,最近10年間とそれ以前のデータを比較してその問いに答えた.対象は2008年以前の17報告と2008年以降の9報告.

【結論】

2008年以前のSMRは1.76(CI:1.52~2.04)であったが,2008年以後のSMRは1.35(CI:0.99~1.85)と低下し,統計学的には健常者と差はなくなっていた.2008年以降でも,ソマトスタチン作動薬が補助療法として用いられた6報では,SMRは0.98(CI:0.83~1.15)で,手術と放射線治療だけの4報告のSMR2.11(1.54~2.91)より低かった.2008年以前でも以降でも,治療によってコントロールが得られた患者のSMRは健常人と差がなかった(0.71,CI:0.41~1.22と0.94,CI:0.76~1.16).

【評価】

そうでしょうよね,という論文である.先端巨大症患者のSMRが健常者の約2倍に達することは既に1970年にWrightらに報告され(文献1),英国ニューカッスルの疫学調査では3.31という値も出た(文献2,1980)本邦からも2.10というデータが出ている(文献3,1998).
本文では,2008年以前でも以降でも,心血管疾患,呼吸器疾患,脳血管疾患,癌による死亡のSMRは健常者より高いことが示されている.それにも関わらず,先端巨大症患者全体のSMRは,最近10年間は減少している,おそらく,ソマトスタチン作動薬の導入によって,GH,IGF-1のコントロールが改善していること,それによって合併症の重症度が低下していること,さらに個々の合併症に対する治療法の進歩によってそれぞれの死亡率が徐々に低下していることが背景になっているものと思われる.
死亡原因では,一般人口と同じく,癌による死亡が増加していることに注目する必要がある(死亡全体の26~36%),同時に心血管疾患,脳血管障害による死亡は減少しつつある.
本論文は,先端巨大症患者の長期管理にとって重要な知見を提供している.

執筆者: 

藤尾信吾   

監修者: 

有田和徳

メールで読みたい方はこちら

メルマガ登録する