アグレッシブ下垂体腺腫と下垂体癌に対するテモゾロミド投与:ドイツの47例

公開日:

2020年3月24日  

最終更新日:

2020年3月25日

Efficacy of Temozolomide Therapy in Patients With Aggressive Pituitary Adenomas and Carcinomas-A German Survey

Author:

Elbelt U  et al.

Affiliation:

Department of Endocrinology, Diabetes and Nutrition, Charité-Universitätsmedizin Berlin, Berlin, Germany

⇒ PubMedで読む[PMID:31746334]

ジャーナル名:J Clin Endocrinol Metab
発行年月:2020 Mar
巻数:105 (3)
開始ページ:

【背景】

本研究は,ドイツにおける全国調査で,侵攻性下垂体腺腫(アグレッシブ下垂体腺腫:APT)と下垂体癌(PC)に対するテモゾロミド投与(TMZ)の長期効果を検討したものである.対象はAPT34例とPC13例の合計47例(初診時平均45歳).免疫組織学的にはACTH産生20例(サイレントACTH6例を含む),PRL産生18例,非機能性腺腫9例.Ki-67中央値は10%(2~60%).39例が初診後3年(中央値)で放射線照射が行われた.22例で薬物療法が行われていた.TMZは初回手術から中央値8年後(0~36年)に開始され,多くは標準的な6サイクル投与(1~26)が行われた.

【結論】

TMZの認容性は一般に良かった.中央値32ヵ月の経過観察期間の最終段階で9例(20%)が腫瘍縮小,8例(17%)が腫瘍不変,29例(63%)例が腫瘍進行であった.腫瘍進行はTMZ開始後16 ヵ月(中央値)で認められた.PFS中央値は23ヵ月.APTとPC間で腫瘍不変とPFSに差はなかった.MGMTメチレーションの有無,p53陽性,Ki-67陽性率,TMZ投与開始時期(初診後10年以上か未満か)はPFSと相関はなかった.

【評価】

著者らは,TMZによる初期反応は期待出来るが,長期効果はあまり好ましくなかったと結論として,その上で,より長期のTMZ投与を考慮すべきであると提案している.その根拠として,TMZを6サイクル以上投与された患者30名では,PFS中間値は29ヵ月と,全対象患者の23ヵ月より6ヵ月延長していたことを上げている.ヨーロッパ内分泌学会のガイドラインでは少なくとも3サイクル投与しても下垂体腫瘍増大が認められるケースで,TMZを中止すべきとしている(文献1).また,膠芽腫に対するTMZの投与では重篤な副作用や,腫瘍進行がないかぎり投与を継続することが多い.下垂体腫瘍においても,腫瘍増大がない限り,Stuppレジメの6サイクルを超えて継続するという治療プロトコールを考慮して良い.
2018年に発表された欧州での下垂体腺腫に対するテモゾロミドの使用165例の使用経験の後方視的検討では.機能性腺腫,MGMT低発現,同時的な放射線照射がテモゾロミドに対する良好な反応と相関していた(文献2).
一方,このドイツからの報告では,予後因子は特定できなかった.日本からの報告でもMGMT低発現とTMZの効果との相関は認められていない(文献3).
症例数が限られた疾患なので,より大きな国際的な枠組みでの前向き登録研究が必要である.その中で,効果予測因子についても明らかにされることを期待したい.

執筆者: 

藤尾信吾   

監修者: 

有田和徳

メールで読みたい方はこちら

メルマガ登録する