武漢におけるCOVID-19感染下垂体腺腫患者の経鼻内視鏡下出術:本当はこうだった

公開日:

2020年6月1日  

最終更新日:

2020年12月9日

【背景】

この報告は,2020年1月,武漢において,COVID-19感染患者の下垂体腫瘍摘出術中に感染が広まったとして情報が誤って伝えられ(文献1),世界の多くの施設で下垂体手術が中止される根拠となったケースの当事者からの詳報である.
手術が行われたのは,武漢市協和医院.患者は70歳男性で,視機能障害のため2019年12月にCT検査を受け,最大径4.5cmの下垂体腺腫が発見された.手術前の麻酔科診察で問題はなく,1月6日に経鼻内視鏡下摘出術を受けた.患者は手術後3日目に発熱(38.5℃)を呈したが,髄膜刺激症状なし.手術後5日目の胸写で肺炎像を示したので,隔離され,担当医療者は防護衣着用を要請された.