下垂体腺腫の硬さのグレーディングシステム(1~5)の開発:UCSFから

公開日:

2020年7月1日  

最終更新日:

2020年7月6日

Development and Clinical Validation of a Grading System for Pituitary Adenoma Consistency

Author:

Rutkowski MJ  et al.

Affiliation:

Department of Neurological Surgery, University of Southern California, Los Angeles, California, USA

⇒ PubMedで読む[PMID:32503003]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2020 Jun
巻数:Online ahead of print.
開始ページ:

【背景】

下垂体腺腫の硬さは様々であるが,硬さの評価法が定まっていないので,硬さと臨床像の関係は不明である.UCSF脳外科チームは自験の下垂体腺腫306例(70%が非機能性)を5段階グレードに分類した.定義とその頻度は,Grade 1:嚢胞あるいは出血性(4.9%),Grade 2:柔らかく吸引可能(36.6%),Grade 3:中間の硬さで,部分的に吸引可能(40.8%),Grade4:硬くて,吸引は困難で被膜外摘出が必要(17%),Grade5:非常に硬いか石灰化した腫瘍(0.7%).検者間信頼性評価のために,4人の術者が20症例の手術ビデオを見て,各自でスコアリングした.

【結論】

Grade1,2,3に比較して,grade 4/5は有意に大きく(p<0.01),有意に海綿静脈洞浸潤が多く,(p<0.05),非機能性である傾向であった(p=0.086).Grade 4/5は術前/術後の下垂体機能が低下している傾向であった(p=0.058 & 0.066).視機能障害の改善はgrade1,2で有意に多く(p<0.05).全摘出率はgrade 1/2で有意に高かった(p=0.045).
グレード決定における術者間の差は低く,再現性は高く,検者間信頼性は高かった(級内相関係数 0.905,95% CI 0.815~0.958).

【評価】

確かに大きな腫瘍で海綿静脈洞浸潤を有するものは硬いという本サマリー作成者の印象があったが,やはりそうなのという気持ちで読んだ.単純囊胞性や柔らかい腫瘍では,容易に減圧を達成出来るので,視機能改善も良いという点も納得出来る.
興味深いのは硬い腫瘍では術前・術後とも下垂体機能低下が多いことである(有意ではないが).手術後に関しては,硬い腫瘍では摘出操作中に,下垂体に対して機械的損傷が加わりやすい可能性がある.手術前に関してはその理由の推定は困難であるが,トルコ鞍内圧との関係があるのかも知れない.
一方,下垂体外科医の最大の関心は,この硬さを術前に予測出来るかという点である.これまでT2強調像,拡散強調像,それらの機械学習解析,エラストグラフィーの有用性が報告されているが(文献1,2,3),本論文ではこの点について言及されていない.また,何がこの硬さをもたらしているのかという点に関して,従来コラーゲンの量などとの関係が報告されているが(文献4),病理学的な解析がないのも本論文の重大な欠陥である.これらの点に関する今後の展開に期待したい.

執筆者: 

藤尾信吾   

監修者: 

有田和徳

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