喫煙歴と鼻中隔粘膜フラップは経鼻内視鏡手術後の鼻腔内環境悪化のリスクとなる

公開日:

2020年7月8日  

最終更新日:

2020年7月16日

Prior Smoking and Nasoseptal Flap Usage Adversely Impact Quality of Life and Healing After Endoscopic Pituitary Surgery

Author:

Aryan Shay  et al.

Affiliation:

Rush Medical College, Chicago, Illinois, USA

⇒ PubMedで読む[PMID:32480369]

ジャーナル名:Neurosurg Focus.
発行年月:2020 Jun
巻数:48(6)
開始ページ:E17

【背景】

経鼻内視鏡下下垂体手術(EPS)は下垂体腫瘍に対する手術法として確立されたものであるが,鼻腔内環境への悪影響が危惧される.本研究では,EPS後の鼻腔内環境を,22-item Sino-Nasal Outcome Test(SNOT-22)と内視鏡所見を用いて主観的,客観的に評価し,鼻腔内環境の悪化に影響する因子についても検討した.

【結論】

経鼻EPSを施行され,90日以上フォローした109名の患者を対象とした.
過去の喫煙歴と,鼻中隔粘膜フラップ作成が,SNOT-22スコアの悪化に関与していた(p<0.01とp=0.01).
一方,副鼻腔手術の既往やseptoplastyの実施はSNOT-22スコアに影響しなかった.

【評価】

SNOT-22は鼻副鼻腔炎に関する自覚症状調査票として広く普及しているものである.鼻中隔粘膜フラップの使用は,SNOT-22スコア悪化に繋がる結果であった.過去の報告では,鼻中隔粘膜フラップを用いても鼻腔内環境に影響しないとも言われており(文献1),本研究でも,術後経過とともにSNOT-22スコアは改善している.最終的に改善するとしても,術後しばらくは患者QOLを悪化させる可能性があり,鼻中隔粘膜フラップの適応は慎重に判断すべきと思われる.
また,過去の喫煙者(本研究対象では25.7%を占めた)は,EPS後に鼻腔内環境が悪化するリスクがあり,術前に十分に説明する必要がある.当然,現在の喫煙者(本研究対象では6.4%を占めた)の方が,術後鼻腔内環境が悪化しやすいと推測されるが,多変量解析では相関因子ではなかった.これはおそらく,症例数が少ないこと(7例に過ぎなかった)が影響していると思われる.改めて,より多数例での検討が必要である.

執筆者: 

藤尾信吾   

監修者: 

有田和徳

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