先端巨大症の椎体骨折の予防に骨粗鬆薬は効くのか:イタリアBAAC研究

公開日:

2020年9月4日  

最終更新日:

2020年9月23日

Treatment of Acromegalic Osteopathy in Real-life Clinical Practice: The BAAC (Bone Active Drugs in Acromegaly) Study

Author:

Mazziotti G  et al.

Affiliation:

Endocrinology, Diabetology and Medical Andrology Unit, Osteoporosis and Metabolic Bone Disease Section, Humanitas Clinical and Research Center, IRCCS, Rozzano-Milan, Italy

⇒ PubMedで読む[PMID:32511698]

ジャーナル名:J Clin Endocrinol Metab.
発行年月:2020 Sep
巻数:105(9)
開始ページ:dgaa363

【背景】

先端巨大症患者では高頻度に骨関節症が認められ,椎体骨折は30~40%に達し,併存疾患やQOLに大きな影響を与える(文献1,2).しかし,その治療に関しては一定の指針はない.本研究はイタリアの9ヵ所の3次内分泌疾患病院を対象とした後方視研究である.対象は248例の先端巨大症患者.登録段階で137例が治癒かコントロール下にあり,111例が活動性であった.追跡期間中央値は48ヵ月(12~132ヵ月).52例(20.97%)が追跡期間中に骨粗鬆症薬(bone-active drugs)の投与を受けた.

【結論】

経過観察期間中の新たな椎体骨折は65例(26%)であった.多変量解析で,椎体骨折と相関したリスク因子は既存の椎体骨折(OR 3.75),長い活動性期間(OR 1.01),登録段階での活動性(OR 2.48),続発性副腎不全治療中(OR 2.50)であった(いずれもp<0.05).
全対象患者では,骨粗鬆症薬の投与は椎体骨折の頻度に影響を与えなかった(p=0.82).
しかし,登録時活動性であった患者に限った感度解析では,骨粗鬆症薬の投与は椎体骨折の低い発生頻度と相関した(OR 0.11,p=0.004).これは既存の椎体骨折の有病率と副腎不全治療中であることがリスク因子であること(p<0.001)とは独立していた.

【評価】

確かに先端巨大症の患者さんを長くみていると,たとえ手術によって治癒していても,その後骨関節疾患が進行し,徐々に脊椎,股関節,膝関節などの変形が進み,QOLが低下することが多い.本研究でも,4年間の追跡期間に26%が椎体骨折を新たに発症している.リスク因子としては既存の椎体骨折,長い活動性期間,登録段階での活動性,副腎不全治療中が挙げられた.副腎不全治療中の患者に椎体骨折が多いのはもしかすると,コルチゾル補充量が過剰になっているためかも知れない(文献3).
骨粗鬆症薬は活動性先端巨大症患者では椎体骨折の予防に有効かも知れないというのが著者らの結論であるが,どうして活動性に限りなんだろうかという疑問は残る.実際に投与された薬剤は破骨細胞への分化と骨吸収の抑制を目標としたものが多く,これは活動性先端巨大症における骨吸収の亢進という病態を考慮すれば,その有効性は予測出来るところである.一方,コントロールされた先端巨大症でこれらの薬剤が効かないのは,この段階での骨微小構築上の特徴と骨折リスクの背景には骨芽細胞への分化の障害があるからかも知れない(文献4).
今回の後方視的研究では,骨代謝マーカーの評価はされておらず,多種類の骨粗鬆薬が使用されているので,その効果あるいは無効のメカニズムを推定することは困難である.
しかしながら,先端巨大症の骨関節病変は高頻度であり,かつ寛解後でも進行するので,その病態解明とコントロールは重要な課題である.今後の前向き研究に期待したい.

執筆者: 

藤尾信吾   

監修者: 

有田和徳

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