SRLs注射から経口オクトレオチドへの切り替え:二重盲第3相CHIASMA OPTIMAL試験の結果とFDA承認

公開日:

2020年10月16日  

Maintenance of Acromegaly Control in Patients Switching From Injectable Somatostatin Receptor Ligands to Oral Octreotide

Author:

Samson SL  et al.

Affiliation:

Pituitary Center, Baylor St. Luke’s Medical Center, Baylor College of Medicine, Houston, Texas, USA

⇒ PubMedで読む[PMID:32882036]

ジャーナル名:J Clin Endocrinol Metab.
発行年月:2020 Oct
巻数:105(10)
開始ページ:dgaa526

【背景】

2015年に発表されたオープンラベル容量設定試験は,徐放性ソマトスタチン作動薬(SRLs)注射によってコントロールが得られている先端巨大症患者に対する経口オクトレオチドカプセル(OOC)への切り替えは,約6割でIGF-1のコントロールをもたらすことを明らかにした(文献1).本CHIASMA OPTIMAL試験は36週間の偽薬対照二重盲試験とそれに続くオープンラベル延長試験からなるRCTである.対象はSRLs注射によってコントロールが得られている先端巨大症患者56名でOOC実薬群28名,偽薬群28名.OOCは試験者によって40mgから80mgまでのタイトレーションを受けた.

【結論】

ベースライン時と偽薬対照二重盲試験終了時のIGF-1平均値は実薬で0.80と0.97×ULN(正常上限),偽薬で0.84と1.69×ULNであった.GH平均値は実薬で0.66と0.60 ng/mL,偽薬で0.90と2.57 ng/mLであった.IGF-1正常範囲(≦1.0×ULN)の維持は実薬58.2%,偽薬19.4%で得られた(p=0.008).OOC群における治療関連有害事象による投与中止は2例(7.1%)あった.IGF-1の上昇のために二重盲試験を継続できなかったのは実薬群5例(18%),偽薬群18例(64%)であった.

【評価】

徐放性ソマトスタチン作動薬の注射は術後非寛解の先端巨大症や一部の未治療の先端巨大症に対する有用な治療法として確立している(文献2).しかし,SRLsの注射は月に1回といえども注射時の痛み,注射部硬結,炎症,瘢痕化,不安,次回注射前の先端巨大症状の再発など患者には相当な負荷を与える治療である(文献3).これらの欠点を克服するために,OOCが開発された.OOCは胃で溶けないようにコーティングされ,かつ腸管上皮間のtight junctionの透過性を一時的に高めるエンハンサー機能(TPE)を有しており,効果的に腸管内血管にオイル懸濁オクトレオチドを送り届けることが出来る(文献1).既報のオープンラベル試験ではSRLs注射からOOCへの切り替えは63%の患者でIGF-1のコントロールを維持することを明らかにした.本試験は偽薬対照二重盲試験であるが,OOC実薬群で,58.2%でIGF-1のコントロール(≦1.0×ULN)が維持出来ることを示した.
また,偽薬対照二重盲試験の終了段階でOOCsを内服していた患者の9割はそのまま,OOC内服の継続を希望した.なお,治療関連有害事象によってOOC内服の中止に至ったのは2例(7.1%)であるが,内容は消化器症状と頭痛であった.
著者らは,本試験の結果を受けて,OOCはSRLs注射でコントロール可能であった先端巨大症患者への有効な代替治療法であると結んでいる.
このOOCは本試験の成功を受けて,2020年6月に,MYCAPSSAの名前でFDAの承認を受けており,今後臨床現場での使用が始まる予定である.

執筆者: 

藤尾信吾   

監修者: 

有田和徳

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