成長ホルモン+プロラクチン同時産生下垂体腺腫は囊胞性が多い

公開日:

2020年11月23日  

最終更新日:

2020年11月23日

Cystic appearance on magnetic resonance imaging in bihormonal growth hormone and prolactin tumors in acromegaly

Author:

Varlamov EV  et al.

Affiliation:

Department of Medicine, Oregon Health & Science University, Portland, OR, USA

⇒ PubMedで読む[PMID:32870441]

ジャーナル名:Pituitary.
発行年月:2020 Dec
巻数:23(6)
開始ページ:672

【背景】

成長ホルモン産生腺腫には主要な2つのタイプであるdensely granulated adenoma(DGA)とsparsely granulated adenoma(SGA)以外にGHとPRLを同時に産生分泌する腺腫(bihormonal adenoma[BA])が含まれる.本研究はBAに焦点を当て,DGAやSGAとの違いを後方視的に検討したものである.対象はBA19例,DGA30例,SGA28例.BAはSGAに比較して高齢で(49.6 vs 38.5歳,p=0.035),IGF-1インデックスが高かった(3.3 vs 2.3,p=0.040).

【結論】

BAはSGAやDGAより,MRI上の浸潤は少なく(15.8 vs 57.1 and 30%,p=0.005 and 0.323),囊胞成分を示すことが多かった(52.6 vs 14.3 and 22%,p=0.005 and 0.033).ソマトスタチン作動薬に対する反応はBA66.7%,DGA90.9%,SGA37.5%であった(p=0.053).全タイプを対象にすると,手術による内分泌学的寛解の可能性は非囊胞性腫瘍が囊胞性腫瘍より高かった(50 vs 22.5%,p=0.042).

【評価】

内分泌臓器腫瘍病理分類WHO 2017では成長ホルモン産生腺腫をDGA,SGA,mammosomatotroph adenoma(MS),mixed somatotroph-lactotroph adenomaの4サブタイプに分類している(文献1).MSとmixed somatotroph-lactotroph adenomaの病理学的な鑑別には電顕や二重免疫染色が必要であるが,本論文では両者を区別することなくBAとして扱い,BAが他の2者に比較すれば,年齢が高く,浸潤は少なく,囊胞成分を示すことが多いことを示した.ただし,どちらかと言えば,BAはDGAに類似しており,ともに高齢で,浸潤性が少なく,IGF-1インデックスは高かった.なお,ここで言うIGF-1インデックスとはIGF-1SD値でなく,(IGF-1値)/(性・年齢が一致した健常者の正常上限値)である.
著者らが最も強調しているのはBAに囊胞性変化が有意に多いことである.しかし,組織学的に壊死,出血,虚血性変化は観察されていないため,囊胞化機序については明らかではない.一方で,BAでは他のサブタイプに比較して,ホルモン産生能が高いので,嚢胞化はKovacsらの言うmisplaced exocytosis(文献2)が増えたためではないかと推測しているが,根拠はない.
いずれにしても,GH産生腫瘍の術前MRIで囊胞が見られた場合には,BAの可能性を少しは考えておいた方がいいのかも知れない.
既にUCSFのRickらは,2018年にGH+PRL同時産生腺腫はGH単独産生腺腫より治療困難であることを報告している(文献3).Rickらによれば2ホルモン同時産生腺腫は,腫瘍サイズはGH単独産生腺腫と同一であるのに,IGF-1値が高く,臨床症状もより強く,手術による寛解率は低いという.また,手術非寛解例に対する薬物療法においても,同時産生腺腫はより多種類の薬物が必要で,IGF-1の正常化まで時間がかかることも示されている.これらの理由としては,GH単独産生腺腫の方が同時産生腺腫よりもより分化度が高いことが推測されている.
これらの報告を踏まえて, 今後の本邦におけるGH産生腫瘍の多施設前向き登録研究の一部として,BAの意義について検討する必要性はあるだろう.ただし,mammosomatotroph adenoma(MS)とmixed somatotroph-lactotroph adenomaは別の腫瘍であるので,分けて議論した方が良い.二重免疫染色は40年も前からルーチンに行われている手技なので,困難ではないはずである.
ちなみに,上記の4個のサブタイプ以外に,GHを分泌する腫瘍としてはプロラクチン産生腺腫のサブタイプであるacidophilic stem cell adenomaとplurihormonal PIT-1 positive adenomaがあるが,WHO 2017の分類ではGH産生腺腫(somatotroph cell adenoma)には含まれていない.

執筆者: 

有田和徳

メールで読みたい方はこちら

メルマガ登録する