先端巨大症患者における手術後のOGTtにおけるGH底値の正常化(<0.14 μg/L)がもたらすもの

公開日:

2020年12月28日  

最終更新日:

2020年12月29日

Prognostic value of nadir GH levels for long-term biochemical remission or recurrence in surgically treated acromegaly

Author:

Freda PU  et al.

Affiliation:

Department of Medicine, Vagelos College of Physicians and Surgeons, Columbia University, New York, NY, USA

⇒ PubMedで読む[PMID:33124000]

ジャーナル名:Pituitary.
発行年月:2020 Oct
巻数:Online ahead of print.
開始ページ:

【背景】

現在,先端巨大症の治癒基準はIGF-1が基準値内で,経口糖負荷試験(OGTt)におけるGH底値が0.4 μg/L以下となっている(文献1).しかし高感度GH測定法では,健常者のOGTtにおけるGH底値の97.5パーセンタイル値(正常上限値)は,DSL IRMA法で0.14 μg/L,IDS iSYS法で0.15 μg/Lである(文献2).コロンビア大学のFredaらは,手術後IGF-1が正常化した97例の先端巨大症患者を対象に長期追跡を行い,この正常上限値(0.14あるいは0.15 μg/L)の意義を検討した.

【結論】

対象患者には手術後1.4年(中央値)に術後最初のOGTtを,その後8.1年後(中央値)にフォローアップOGTtを行った.術後最初のOGTtでは68例でGH底値が正常上限値以下となり寛解と判断された.29例では高値(非寛解)であった.寛解となった68例のうち,13例がフォローアップOGTtで高値を示し,そのうち5例(7%)が再発(IGF-1が再上昇)した.非寛解の29例ではフォローアップOGTtで16例のGH底値が高値のままで,そのうち9例(31%)は中央値4.5年の経過で再発(IGF-1が再上昇)した.
再発は術後最初のOGTtにおけるGH底値が高値の群で有意に多かった(p<0.001).

【評価】

本稿は,術後IGF-1が正常化した先端巨大症患者において,OGTtにおけるGH底値が0.14 μg/L以上(DSL IRMA法)の患者では,31%が再発(IGF-1が再上昇)することを明らかにした.もっと重要なのはGH底値が0.14 μg/L以下まで低下しても,中央値8年(1.5~22)の長期追跡では,7%が再発するという事実である.
実際の再発症例は97例中で14例であったが,そのうち5例は手術後10年以上たって診断されたものであった.

ただし,手術後IGF-1が正常化した97例では,最初のOGTtでGH底値が正常化した群としなかった群と,再発群と非再発群との比較では,臨床像に統計学的な差はなく,インスリン抵抗性を示すHOMAスコアやインスリン感受性指数QUICKIインデックスにも差は認められなかったという.
同様に術後IGF-1が正常化した患者では,GH底値が0.4 μg/Lの群と0.4~1.0 μg/Lの群では血圧,体重,BMI,血中インスリン濃度,血糖,経口糖負荷試験中の遊離脂肪酸,HOMA-β,HOMA-IRなどの臨床指標に差がないことも報告されている(文献3,4).フォローアップOGTtでGH底値が上昇して高値になった群に明らかな臨床像の再発が認められるのはもっと後の事かも知れない.いずれにしても先端巨大症患者では,手術後にIGF-1が正常化しても,超長期の丁寧な経過観察は欠かせないように思われる.

執筆者: 

有田和徳