下垂体腺腫の海綿静脈洞浸潤の予測には修正Knosp分類を3段階(0+1,2+3A,3B+4)に分けるのが良い:4,321例のメタアナリシスから

公開日:

2021年3月1日  

最終更新日:

2021年3月5日

Diagnostic value of Knosp grade and modified Knosp grade for cavernous sinus invasion in pituitary adenomas: a systematic review and meta-analysis

Author:

Fang Y  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, Fuzong Clinical Medical College of Fujian Medical University, Fujian, China

⇒ PubMedで読む[PMID:33491163]

ジャーナル名:Pituitary.
発行年月:2021 Jan
巻数:Online ahead of print.
開始ページ:

【背景】

下垂体腺腫の海綿静脈洞浸潤の術前予測ではKnosp Grade(KG:0~4)とその修正版(mKG:KG 3を3Aと3Bに分けたもの)が用いられている(文献1,2).中国福建医科大学のFangらは,過去に報告された12個の報告を元にこれら2つのグレーディングシステムの有効性を評価した(KG:3,006症例,mKG:1,315症例).

【結論】

海綿静脈洞浸潤の予測におけるmKGはKGよりも高い精度を示し,グレード 3B~4をもって海綿静脈洞浸潤と診断した場合のROC解析におけるAUCは0.91であった.グレード 3Aはグレード 3Bに比較して著明に低い海綿静脈洞浸潤率と不完全切除率を示した(44 vs. 81%,26 vs. 52%).グレード 0と1は共に低い海綿静脈洞浸潤率を呈した.グレード 2の海綿静脈洞浸潤率と不完全切除率(30%と21%)は3Aに近かった.この結果からは,海綿静脈洞浸潤の予測について6段階のうちどこかという二分法で別けるよりも,3段階(0+1,2+3A,or 3B+4)に別ける方が良いことがわかった.

【評価】

Knospらの側方進展のグレーディングでは,下垂体腺腫が内頸動脈海綿静脈洞部分と海綿静脈洞上部分の外側縁を結んだ線より外側に進展したものはGrade 3であり,腺腫が内頸動脈海綿静脈洞部分を完全に取り囲んでいるのがGrade 4である(文献1).さらに2015年、MickoとKnospは,Grade 3を内頸動脈の上方スペースに進展したGrade 3Aと下方スペースに伸展したGrade 3Bに分けたが(文献2),3Aは3Bに比較して有意に海綿静脈洞浸潤が少なく,肉眼的全摘出率が高いことが判明している(文献3).
Fangらは彼らが行ったメタアナリシスの結果を受けて,現在6段階に細分されている修正Knospグレードを用いて二分法(これ以上か以下か)で海綿静脈洞浸潤を予測するよりも,大きな3つのカテゴリーに分ける方が良いと提案している.
彼らのランダム効果モデルによる解析では海綿状静脈洞浸潤の頻度はグレード 0:1.4%,1:8.6%,2:30.0%,3A:44.0%,3B:81.1%,4:100%である.確かにこの数字を見ると海綿静脈洞浸潤の可能性はKnospグレード 0~1が10%以下(低頻度),2~3Aが30~40%(中頻度),グレード3B~4が80%以上(高頻度)と大別出来るように見える.
興味深い提案であり,前向き研究で検証されるべきである.
ちなみに同じくランダム効果モデルによる解析では肉眼的全摘出率はグレード 0:91.8%,1:81.6%,2:78.2%,3A:73.7%,3B:48.2%,4:21.2%であった.

執筆者: 

木下康之   

監修者: 

有田和徳