COVID-19ワクチン接種時に副腎皮質ホルモン補充量を増やすべきか:米国下垂体学会(pituitary society)のサーベイ

公開日:

2021年3月22日  

最終更新日:

2021年3月23日

Glucocorticoid use in patients with adrenal insufficiency following administration of the COVID-19 vaccine: a pituitary society statement

Author:

Katznelson L  et al.

Affiliation:

Departments of Medicine and Neurosurgery, Stanford University, Stanford, CA, USA

ジャーナル名:Pituitary.
発行年月:2021 Apr
巻数:24(2)
開始ページ:143

【背景】

COVID-19ワクチン接種による主要な副作用には注射部疼痛,倦怠,頭痛,筋肉痛,関節痛,悪寒,発熱がある(文献1,2).米国下垂体学会は,副腎機能不全のケアをしている患者がCOVID-19ワクチンを接種した時やその後に上記の副作用を訴えた際に会員がどのように対処しなければならないと予想しているかサーベイした.質問表は273名の会員に送付され,103名が回答した.

【結論】

36%は最初の接種に際して自動的にグルココルチコイド補充用量を増量するよう患者に勧告すると答えた.このうち84%はワクチン接種日に,49%はワクチン接種以前に増量させると答えた.
自動的にグルココルチコイド補充用量を増量しないと答えた64%の会員のうち88%は患者に発熱が認められれば,47%は筋肉痛や関節痛が起これば用量を増加させると答えた.

【評価】

COVID-19ワクチン接種に伴って出現する可能性がある倦怠,頭痛,筋肉痛,関節痛,悪寒,発熱などの副作用は副腎皮質不全患者にとっては一種の身体的ストレス(sick day)になるので,従来のガイドラインに従えばグルココルチコイド補充を増量すべき状況にあると言えるかも知れない(文献3,4).しかし,種々のワクチン接種に際しての副腎不全患者のグルココルチコイド補充については,一定の指針はない.また,グルココルチコイド増量がワクチンに対する免疫反応へ与える影響も不明である.
しかし,このサーベイの結果は,副腎皮質ホルモン補充患者のケアを行っている米国下垂体学会会員が,COVID-19ワクチン接種に対して高い警戒心をもって対処していることを暗示している.
著者らは, このサーベイは,グルココルチコイド増量の臨床治験ではないと断った上で,下垂体疾患を扱っているエキスパートの回答に基づいた管理指針案を提供しているとまとめている.
日本内分泌学会は「内分泌代謝疾患で治療中の患者さんへ:新型コロナウイルス(COVID-19)への対応について」で,感染時には担当医に相談の上,副腎皮質ホルモンの増量を含む対処を受けることを提言しているが(文献5),ワクチン接種時のグルココルチコイド用量に関しての言及はまだない.今後,患者への問い合わせに対する対応指針等が発表されることを期待したい.

執筆者: 

有田和徳   

監修者: 

高橋裕