ラトケのう胞の自然経過では増大よりも縮小が多い:過去最大229例の自然史と増大・縮小のリスク因子

公開日:

2022年11月21日  

最終更新日:

2023年9月13日

【背景】

ラトケ嚢胞は剖検下垂体の3.7%で認められるが(文献1),その大部分は無症候性である.近年のMRIの普及によって,無症候性のラトケのう胞の頻度は増えているが,その自然史は充分に明らかではない.広島大学のKinoshitaらは2000年以降にMRIで診断した355例のうち,経過観察が選択された229例(年齢中央値43歳,女性155例,縦径中央値10 mm)の自然史を明らかにし,増大のリスク因子を求めた.のう胞縦径が1 mm以上の変化を増大あるいは縮小と定義した.中央値36.6ヵ月の追跡期間中に23例(10.0%)が増大,73例(31.9%)が自然縮小,133例(58.1%)は不変であった.