「Diabetes Insipidus」という病名はやめよう,世界の関連8学会からの提案: AVP-D,AVP-R へ

公開日:

2022年12月19日  

最終更新日:

2023年9月13日

【背景】

「名前が何だって言うの,バラはどんな名前だって甘い香りを放つのよ」(ジュリエット).
しかし,病名には現実的意味が含まれ,その使用による影響が発生する.したがって,病態生理学の発展により,病気の本質が明瞭になれば,古い理解に基づいて付けられた病名を変更する合理性はあるはずである.
尿崩症(diabetes insipidus)はどうか.本稿は日本や欧州内分泌学会など世界の内分泌・下垂体関連8学会の代表者らからなるワーキングGの提案である.
そもそもdiabetesとはサイフォンのように大量の尿が流れ出る病気という意味のギリシア語で2世紀頃に名付けられた(文献1).その後,diabetesのうち尿が甘いものに対しては17世紀にmellitusというラテン語の形容詞が付けられたが,ドイツのFrank JPは1794年に尿が甘くないものに対して無味(insipidus)と形容詞をつけ,diabetes insipidus(DI)という病名が登場した(文献2).