やはり下垂体腺腫の呼称は廃止されるべきである:WHO内分泌腫瘍第5版(2022)下垂体部腫瘍の概要が明らかに

公開日:

2022年12月30日  

最終更新日:

2023年9月13日

【背景】

【結論】
全身諸臓器の腫瘍の分類について,次々にWHO第5版が出版される中,内分泌腫瘍についても,第5版が出版予定である.本稿は分担執筆者であるAsa SLらによる第5版の下垂体関連腫瘍の総説である.
重要なポイントだけを抜粋する.1)下垂体前葉から発生する腫瘍は,①下垂体神経内分泌腫瘍すなわちPitNET(第4版までの下垂体腺腫という名称は廃止),②下垂体芽腫,③2種類の頭蓋咽頭腫(BRAF V600E変異型とβ-カテニン変異型)に分類される.2)第4版で提案された下垂体転写因子(PIT1,TPIT,SF1,GATA3,ERα)の発現に基づいたPitNETの分類が今回承認された.
3)下垂体転写因子の発現がないnull cell腫瘍もPitNETに属する.4)PIT1-陽性多ホルモン産生腫瘍(第4版)は未分化型PIT1系統腫瘍と分化型多ホルモン産生PIT1系統腫瘍に分ける.5)従来の下垂体癌の大部分は,NETに属するNEC(神経内分泌癌)とは分子生物学的に異なるので,転移性PitNETと改称する.ただし,極めて稀だが,他臓器でのNECの基準(MIB-1高値,p53変異など)を満たす下垂体部NECは存在する.6)従来の4種類の後葉由来腫瘍の分類には混乱や曖昧さが残っていたが,全て後葉のpituicyte由来のpituicytomaとその亜型であることを明確にする.