Subependymal Giant Cell Astrocytoma(SEGA)の摘出術:単一施設の31例とメタアナリシス

公開日:

2026年5月26日  

最終更新日:

2026年5月25日

Microsurgical Resection of Subependymal Giant Cell Astrocytoma: Single-Center Retrospective Analysis and Meta-Analysis

Author:

Sartori L  et al.

Affiliation:

Department of Pediatric Neurosurgery, Hopital Necker, Paris, France

⇒ PubMedで読む[PMID:41972772]

ジャーナル名:Neurosurgery.
発行年月:2026 Apr
巻数:Online ahead of print.
開始ページ:

【背景】

Subependymal giant cell astrocytoma (SEGA)はモンロー孔近傍の側脳室内にできる稀なWHOグレード1の良性腫瘍で,その多くは結節性硬化症に合併する(文献1-3).近年,SEGAに対する治療の第一選択はエベロリムスなどのmTOR阻害薬となっている(文献4,5).しかし,約4割のSEGAは薬剤抵抗性で摘出手術が必要となっている.
本稿は,パリのネッカー小児病院において過去20年間に摘出手術が行われたSEGA 31例の後方視的解析と文献例のメタアナリシスである.
31例の診断時平均年齢は5.3歳,手術時平均年齢は8.1歳であった.頭痛は74.2%,うっ血乳頭は22.6%に認められた.

【結論】

手術は経半球間裂経脳梁的アプローチで行い,脳梁切開は2 cm以内とした.肉眼的全摘出は64.5%で達成された.一過性の術後合併症率は19.3%で,6.4%で脳室腹腔短絡術が必要になった.恒久的な術後障害や手術死亡はなかった.良好な転帰は小さな腫瘍径と術前に水頭症がないことと相関していた.
22報告293例のメタアナリシスでは,術前の水頭症の存在は,術後合併症(OR:2.30)とシャント依存性(OR:3.45)の主要な予測因子であった.
5年PFSは腫瘍全摘出群で90.9%,一側性腫瘍群で100%であった.両側性腫瘍は再発の独立した予測因子であった(HR:17.79,p =.02).

【評価】

Subependymal giant cell astrocytoma(SEGA)は,主として結節性硬化症を有する小児に発生する低悪性度の脳室内腫瘍で,小児脳腫瘍全体の1~2%を占め,結節性硬化症患者の10~20%に認められる(文献1-3).腫瘍は緩徐に増大するが,尾状核‐視床溝に発生するため,モンロー孔を閉塞し水頭症を来し得る点で,適時の治療介入が必要となる.現在,SEGAに対する治療の第一選択はmTOR阻害薬であるが,治療抵抗性症例も多い(文献4,5).また多くの場合,腫瘍制御のためには持続的なmTOR阻害薬の投与が必要である.本稿は小児脳神経外科の殿堂と言われるパリのネッカー小児病院で,2005年からの20年間で摘出術が行われたSEGA 31例の解析とメタアナリシスの結果である.
その結果,全摘出率は本シリーズの約3分の2,メタアナリシスでは80%以上で達成されていた.手術合併症の多くは一過性であり(本シリーズ19%,メタ解析32%),永続的後遺症は5%未満,死亡率も低い(本シリーズでは死亡例なし).また,本シリーズ全摘例の5年PFSは90.9%と良好であった.この結果をうけて著者らは,SEGAに対する顕微鏡下摘出術は安全かつ有効な治療選択肢であり,mTOR阻害薬治療の代替または補完療法として妥当な選択肢となり得ると結論している.
本シリーズとメタアナリシスによって,SEGAに対する顕微鏡下摘出術の安全性は揺るがないものとなった感がある.今後は,mTOR阻害薬から摘出術への切り替えの至適なタイミングを明らかにする必要性があるだろう.

執筆者: 

有田和徳