治療で一旦閉塞した硬膜動静脈瘻再発のリスクとリスク因子:北京市首都医科大学の510例

公開日:

2026年2月9日  

Recurrence of initial angiographic occlusion in intracranial dural arteriovenous fistulas

Author:

Su Xin  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, Xuanwu Hospital, Capital Medical University, Beijing, China

⇒ PubMedで読む[PMID:40712173]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2025 Jul
巻数:143(6)
開始ページ:1530

【背景】

脳硬膜動静脈瘻の8割は,塞栓術,摘出手術,SRSによって治癒させることが可能であるが(文献1,2),その後の再発は稀ではない(文献3,4).北京市の首都医科大学附属宣武医院の脳外科は,自験の硬膜動静脈瘻のうち,塞栓術(約93%)か摘出術(約7%)で治癒させた後に,治療後1ヵ月間以上,血管撮影による経過観察が行われた510例を対象に,再発率とリスク因子を検討した.
病変局在は,横・S状静脈洞移行部21.0%,小脳天幕24.7%,海綿静脈洞15.7%,円蓋部9.2%などであった.血管撮影での追跡期間は平均17.7ヵ月であった.510例中41例(8.0%)で合計47回の再発があった.年間再発リスクは6.2%.

【結論】

再発の48.8%は他部位,36.6%は同部位,14.6%は両者であった.再発例のうち2.4%だけが新規症状か初期症状の悪化を示した.推定再発率は36ヵ月で13.9%,105ヵ月で24.1%であった.
再発例は非再発例と比較して年齢が若く(平均43.2歳 vs 51.4歳,p <.001),治療前の病悩期間が長かった(中央値:7ヵ月 vs 3ヵ月,p =.037).BordenタイプIIでは他のタイプと比較して再発率が高かった(30.1% vs 4.6%).
再発の有意のリスク因子は <45歳,横・S状静脈洞移行部(14.0% vs 6.5%[他部位]),多発性,脳軟膜動脈の関与,静脈うっ滞所見であった.

【評価】

本研究では,初期治療で治癒と判定された脳硬膜動静脈瘻における血管撮影上の年間再発率が6.2%,36ヵ月後の推定再発率が13.9%と決して稀ではないことを示している.再発例のすべてが塞栓術のみで治癒がもたらされた症例であった.これは従来から報告されている事実と一致している(文献3,4,5).塞栓物質が流出静脈側を完全に閉塞できなかったことが原因と思われる(文献4).
ただし,再発は年齢,部位,多発性,脳軟膜動脈の関与,静脈うっ滞所見などに大きく影響されていた.例えば,平均17.7ヵ月間の経過観察期間で,横・S状静脈洞移行部の硬膜動静脈瘻での再発率は14.0%であったが,その他の部位では6.5%,特に海綿静脈洞部のものでは1.2%に過ぎなかった.横・S状静脈洞部の硬膜動静脈瘻で再発率が高いことは既に報告されており(文献4,6,7),脳静脈循環障害および持続的な静脈圧上昇が十分に解除されないことに起因するものと考えられる.
一方,再発例のうち症状悪化や新規症状を呈したものは2.4%のみであった.臨床症状のみでは,硬膜動静脈瘻の再発を予見できないことになる.
著者らはこの結果を受けて,治癒と判定された硬膜動静脈瘻においても,上記の再発リスクを有する患者では,1年を超える血管造影検査を行うことが推奨されるとまとめている.ではこの高リスク群に対して,どのくらいの頻度で,またいつまで侵襲的な血管造影検査を行う必要性があるのか.CT血管造影検査では代用できないのか.さらに,本研究の結果が示すように再発のほとんどが無症状であるとすれば,頻回の検査を行って再発の早期診断をつける必要があるのか,さらなる検討を要する.

執筆者: 

有田和徳