公開日:
2025年3月28日最終更新日:
2025年3月31日Hydrogel coils in intracranial aneurysm treatment: a multicenter, prospective, randomized open-label trial
Author:
Imamura H et al.Affiliation:
Department of Neurosurgery, Kobe City Medical Center General Hospital, Kobe, Japanジャーナル名: | J Neurosurg. |
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発行年月: | 2025 Jan |
巻数: | Online ahead of print. |
開始ページ: |
【背景】
近年,脳動脈瘤内に挿入後に拡張するハイドロゲル・コイル(HGC)の使用経験がいくつか報告されているが(文献1-4),RCTでは第一世代HGCは再発率を減少させなかった(文献5,6).一方,第二世代HGCを用いた最近の二つのRCT(GREAT,HEAT)では,HGCの有効性を示唆しているが(文献7,8),再開通率単独を評価の対象としたものではなかった.
本稿は脳動脈瘤に対するHGCの有効性に関して,日本国内43施設で実施されたRCT(HYBRID研究)である.対象の425例のうち214例を第二世代HGCに,211例をベアプラチナ・コイル(BPC)に無作為に割り当てた.破裂動脈瘤は3.7%と3.8%であった.
【結論】
血管撮影の結果は,中央評価施設で判定した.
一次エンドポイントである1年後の再開通率はHGC群で3.3%,BPC群で7.1%で,リスク差は−3.8%であった(95%CI:−8.6 to 0.5,p =.083).
治療後1年間の動脈瘤閉塞率の変化については,HGC群の方が新たな瘤内血栓化率が高く,再開通率が低かった(p =.043).
重要な再開通(完全閉塞か頚部残存の状態から動脈瘤体部の造影出現)はHGC群で2.3%,BPC群で6.6%であり,HGC群で有意に低かった(p =.036).
動脈瘤の破裂率,再治療率,すべての脳卒中の発生率,重篤な有害事象の発生率は2群間で差はなかった.
【評価】
本邦の43施設で実施され,平均径約8 mmの脳動脈瘤を対象とした本HYBRID研究は,当初設定したエンドポイントである1年後の再開通率という点では,第二世代HGC(本研究ではHydrocoil,HydroSoft,HydroFrame)の有効性を確認することができなかった.しかし,リスク差−3.8%で,95%CI:−8.6 to 0.5(p =.083)であるから,実に惜しい結果と言うべきであろう.症例数が若干少なかったのと,本邦の脳血管内治療医の技術力の高さ故に,両群とも1年後再開通率が5%前後と低く抑えられていたのが,有意差に至らなかった主な要因と思われる.著者らは,本研究立案の際に,過去の報告や他国での実態を基に1年後再開通率を,HGC群約7%,BPC群約15%と予測したそうであるが,実際はその半分であったことになる.
ただし,治療1年後の動脈瘤閉塞率の変化に関しては,HGC群の方が新たな瘤内血栓化率が高く,再開通率が低く,結果としてHGC群で閉塞率は有意に改善していた(p =.043).このことは,第二世代HGCの特性を反映したものであろう.
なお,二次エンドポイントである再治療率は,HGC群で0.9%,BPC群で2.8%(p =.173),治療後1年以内の重篤な合併症の頻度はHGC群で9.3%,BPC群で15.2%であった(p =.076).
本研究結果と先行するRCTを含めたメタアナリシスを行えば,第二世代HGCの優位性が確定しそうな気がする.
執筆者:
有田和徳関連文献
- 1) Imamura H, et al. Prospective registry of embolization of intracranial aneurysms using HydroSoft coils: results of the Japanese HydroSoft Registry. World Neurosurg. 127:e631-e637, 2019
- 2) Brinjikji W, et al. GEL THE NEC: a prospective registry evaluating the safety, ease of use, and efficacy of the HydroSoft coil as a finishing device. J Neurointerv Surg. 10(1):83-87, 2018
- 3) Kang HS, et al. Embolization of intracranial aneurysms with hydrogel-coated coils: result of a Korean multicenter trial. Neurosurgery. 61(1):51-59, 2007
- 4) Xue T, et al. Hydrogel coils versus bare platinum coils for the endovascular treatment of intracranial aneurysms: a meta-analysis of randomized controlled trials. BMC Neurol. 18(1):167, 2018
- 5) White PM, et al. Hydrogel-coated coils versus bare platinum coils for the endovascular treatment of intracranial aneurysms (HELPS): a randomised controlled trial. Lancet. 377(9778): 1655-1662, 2011
- 6) Raymond J, et al. Patients prone to recurrence after endovascular treatment: periprocedural results of the PRET randomized trial on large and recurrent aneurysms. AJNR Am J Neuroradiol. 35(9): 1667-1676, 2014
- 7) Taschner CA, et al. Second-generation hydrogel coils for the endovascular treatment of intracranial aneurysms: a randomized controlled trial. Stroke. 49(3): 667- 674, 2018
- 8) Bendok BR, et al. The Hydrogel Endovascular Aneurysm Treatment Trial (HEAT): a randomized controlled trial of the second-generation hydrogel coil. Neurosurgery. 86(5):615-624, 2020
参考サマリー
- 1) アスピリン定期服用者では脳動脈瘤コイル塞栓術後の再開通は少ない:Duke大学の525瘤の治療経験から
- 2) 脳動脈瘤に対するステント補助下コイル塞栓術後の抗血小板剤はいつまで続けるべきか:名古屋大学における240例の長期追跡結果
- 3) 分岐部広頚動脈瘤に対するpCONusデバイスを用いた塞栓術:198例200動脈瘤のメタアナリシス
- 4) Neuroform Atlas Stent補助下の中大脳動脈瘤塞栓術35症例の経験:1年後の閉塞率(RRS1+2)は96.2%
- 5) 動脈瘤塞栓術後の再開通の状態(RRクラス)とその後の破裂との関係:IIIbはとても危ない
- 6) 未破裂頭蓋内動脈瘤に対するコイル塞栓術後の破裂率は0.09%/年
- 7) 経過観察中の未破裂脳動脈瘤をなぜ治療することになったのか:スイス・アーラウ州立病院の経験
- 8) 脳動脈瘤に対するフローダイバージョン後の血栓塞栓性イベントの頻度とリスク因子:ハーバード大学関連病院における連続591例
- 9) 前脈絡叢動脈瘤の治療成績はクリップやコイルよりフローダイバージョンが良かった:25報告1,627例のメタアナリシス
- 10) 脳動脈瘤に対する血管内治療中の破裂の頻度,その対処,結果:関東地方14病院のEVT 3,269例の経験から