シロスタゾールを用いた長期DAPTは出血合併症を増やさず虚血性脳卒中を抑制する:CSPS.com研究

公開日:

2019年9月2日  

Dual antiplatelet therapy using cilostazol for secondary prevention in patients with high-risk ischaemic stroke in Japan: a multicentre, open-label, randomised controlled trial.

Author:

Toyoda K  et al.

Affiliation:

Department of Cerebrovascular Medicine, National Cerebral and Cardiovascular Centre, Osaka, Japan

⇒ PubMedで読む[PMID:31122494]

ジャーナル名:Lancet Neurol.
発行年月:2019 Jun
巻数:18(6)
開始ページ:539

【背景】

脳梗塞発症後早期のアスピリンとクロピドグレルの抗血小板剤二剤投与(DAPT)の再発予防効果が確認されているが,長期のDAPTによる重大出血増大のリスクも報告されている.本邦のToyodaらは,非心原性虚血性脳卒中患者のうち高リスク患者に対するシロスタゾールを用いたDAPTの長期効果を検討するRCTを実施した.高リスクとは,主要な頭蓋内・外動脈の50%以上の狭窄,あるいは二個以上の血管性リスク因子を有する患者とした.947例がアスピリンかクロピドグレルの単剤,932例がシロスタゾール200mgを加えたDAPT.

【結論】

投与開始は発症8日から180日以内で,投与期間は半年から3.5年(中央値1.4年).期間中,虚血性脳卒中の再発は単剤群で64例(7%),DAPT群で29例(3%)発生した(HR:0.49,95% CI 0.31~0·76,p=0.0010).重篤な出血の発生はDAPT群8例(年率0.6%),単剤群13例(年率0.9%)で差はなかった(HR:0.66,95% CI 0.27~1.60,p=0·35).すべての有害事象の発生数にも差がなかった(28% vs. 24%).

【評価】

これまでも虚血性脳卒中二次予防におけるアスピリン+ジピリダモール,アスピリン+クロピドグレル,あるいはアスピリン+チクロピジンの併用によるDAPTの有効性に関する研究が行われてきた.2018年にNEJMに発表されたPOINT試験では,ハイリスクTIAと軽症脳梗塞患者に対するアスピリン+クロピドグレル併用(90日まで)は再発リスクを減少するが大出血を増やすこが明らかになり(0.9% vs. 0.4%,ハザード比,2.3;P=0.02),目標数の84%が登録された段階で安全性モニタリング委員会の勧告により新規登録が中止となった(文献1).しかその後のメタアナリスは(文献2),急性期のDAPT(クロピドグレル+アスピリン)は21日以内の中止,おそらくは10日目での中止でその効果を最大化出来る可能性があると示唆している.これらの結果から,現在,虚血性脳卒中の再発を目的とした1年を超える長期間のDAPTは行わないように勧告されている.
シロスタゾールは単独投与でアスピリンに比較して出血性合併症が少ないので(文献3),他剤よりもDAPTにおける出血リスクを低減する可能性が示唆されてきた.本CSPS.com研究は,血性脳卒中後で,既にアスピリンかクロピドグレルを服用している高リスク患者に対するシロスタゾールを加えた長期間のDAPTが,重大出血を含めた有害事象の頻度を増加することなく,虚血性脳卒中の発生リスクを半分に下げることを明らかにした.この結果は,シロスタゾールを他の抗血小板剤に加えても,出血性イベントを増加させないという,これまでの報告に一致し(文献4),脳梗塞二次予防のための長期のシロスタゾール追加投与(DAPT)の有用性に強い期待を抱かせるものとなっている.日本国外での治験が待たれるところである.
一方,同時期に発表された,急性期の非心原性脳梗塞患者1201名を対象とした発症48時間以内から14日間のアスピリン vs. アスピリン+シロスタゾールのRCT(ADSスタディー)では,シロスタゾールを含んだDAPTは,14日間の神経学的悪化(再発,TIAを含む)の抑制効果を示さなかった(文献5).

執筆者: 

菅田淳   

監修者: 

有田和徳

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