再発頭蓋内胚腫の画像診断と治療:広島大学の16例

公開日:

2025年3月28日  

最終更新日:

2025年3月29日

Imaging characteristics and treatment of recurrent germinoma

Author:

Dowaki R  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, Graduate School of Biomedical and Health Sciences, Hiroshima University, Hiroshima, Japan

⇒ PubMedで読む[PMID:39854721]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2025 Jan
巻数:Online ahead of print.
開始ページ:

【背景】

頭蓋内の胚腫は放射線・化学療法への反応が良好で,10年生存は86-92%に達する(文献1,2).しかし再発も稀ではなく,再発例の予後は不良であり(文献3),早期の診断と積極的な治療が必要となる(文献4,5).
広島大学のDowakiらは1989年以降に治療した胚腫78例のうち再発した胚腫16例(男性14例,女性2例)と再発のなかった62例について後方視的に解析して,再発胚腫の特徴と適切な治療法について検討した.初回治療時の全脳全脊髄照射(CSI)施行は3例だけで,いずれも再発はなかった.局所のみの照射(再発群50% vs 非再発群12.9%)は再発のリスク因子であった(p =.0072).

【結論】

初回治療開始から再発診断までは中央値66.8ヵ月(4.2-272)であった.再発16例のうち13例は照射野以外に,6例は脊柱管内に再発した.1/3では血中腫瘍マーカー上昇はなかった.14例の再発MRI病変は造影された.再発病変が造影されなかった2例では,再発巣はDWI高信号で髄液腫瘍マーカーの上昇を伴っていた.再発に対する初期治療として,15例は化学療法が,14例はCSI(9例)を含む放射線照射が行われた.CSIの9例ではその後の経過観察期間中の再々発はなかった.CSIが実施されなかった7例中4例は再々発で死亡した.この7例のPFSは12.2ヵ月,OSは 37.4ヵ月で,いずれもCSI施行症例とは有意差があった(p <.01).

【評価】

本稿は78例という多数の頭蓋内胚腫を長期間にわたって丁寧に追跡し,再発例を抽出し解析した貴重なデータである.再発は16例で認められているが,再発群と非再発群で,性比,年齢,初発腫瘍の数,腫瘍の部位,腫瘍径,腫瘍マーカー,水頭症の有無に有意差はなかった.ただし,初回治療でCSIが実施された3例では再発はなく,逆に局所照射のみは再発のリスク因子であった.もし過去に局所照射のみで治療を終了している症例があれば,相当慎重に経過観察すべきであろう.
初発の頭蓋内胚腫では,基底核や神経下垂体などに発生し,造影MRIでも検出できない,いわゆるoccult胚腫病変がしばしば認められる(文献6,7).本研究の対象である再発胚腫でも,造影MRIでは検出できない病変が2例あり,DWI高信号病変と腫瘍マーカー高値が診断の根拠になっていた.この事実は再発例を見逃さないための重大な警鐘になっている.
再発までの期間に関しては,中央値は66.8ヵ月であるが,16例中3例が初回治療から10年以上を経過してからの再発であった.最長のものは272ヵ月であった.胚腫の初期治療後は最低でも10年間は経過観察すべきであろう.また,脊柱管内での再発の可能性も考慮してスクリーニングのMRIには脊髄・脊椎も含める必要性を示している.
再発腫瘍に対する治療としては,従来の報告と同様(文献8,9),CSIが有用で,本シリーズはCSIが行われた9例では再々発はなかった.
本稿では,頭蓋内胚腫の再発の診断と治療に関していくつかの重要な知見を提示している.今後,他のハイボリューム・センターの症例で検証されることを期待したい.

執筆者: 

有田和徳

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