重症くも膜下出血(WFNSグレード4-5)で発症した解離性動脈瘤はすぐ再破裂する:イタリアPOGASH登録研究から

公開日:

2026年1月7日  

Dissecting aneurysm in poor-grade subarachnoid hemorrhage

Author:

Lozupone E  et al.

Affiliation:

Department of Neuroradiology, Vito-Fazzi Hospital, Lecce, Italy

⇒ PubMedで読む[PMID:41202279]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2025 Nov
巻数:Online ahead of print.
開始ページ:

【背景】

解離性動脈瘤によるくも膜下出血の治療は一般に困難であり,特に重症例で転帰は不良とされているが,予後に関連する因子などの詳細は不明である.本稿はイタリアで進行中の重症くも膜下出血に関する前向き登録研究POGASHグループによる報告で,重症くも膜下出血(治療前のWFNSグレード最高値:4-5)で入院した患者693例から解離性動脈瘤(DA)の60例(年齢中央値57歳)を抽出し,嚢状動脈瘤(SA)633例と比較してその臨床像を解析したものである.SA群と比較して,DA群は入院時のWFNSグレード4-5が多く,後方循環上が多く(63.6 vs 11.5%),脳室内出血量が多かった(いずれもp <.05).

【結論】

治療を受けた54例のDA群中,88.9%が血管内治療を受けた(親動脈閉塞48%,FD 26%,コイル26%).11.1%が外科治療を受けた.発症から治療までは中央値6時間(IQR:4-9)であった.再出血はDA 60例中14例(23.3%)で認められ,8例(57%)は治療前,6例(43%)は治療後に発生した.DA群の再出血率はSA群(14.1%)より有意に高かった(p <.048).院内死亡は24例(40%)に生じた.再出血は院内死亡(調整OR 7.4,p =.011)および長期的障害(調整OR 0.08,p =.04)の独立した予測因子であった.内頚動脈の血豆状動脈瘤は再出血と独立相関した(調整OR 8,p =.027).

【評価】

従来から,解離性脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血患者では転帰不良なことが知られている(文献1-3).本研究の対象である重症くも膜下出血で発症した解離性動脈瘤60例では,院内死亡率が40%と極めて高いことが示されている.注目すべきは,治療を受けた54例では発症から治療までは中央値6時間(IQR:4-9)と早期の治療が実施されていたにも関わらず,再出血は23.3%(14例)で,そのうち8例(57%)は治療前であった.DAによるくも膜下出血では,破裂直後の数時間に再出血リスクが最大となるとの近年の報告を支持している(文献4,5).また,再出血は院内死亡および長期的障害の独立した予測因子であった.この結果を受けて著者らは,重症くも膜下出血を呈した解離性脳動脈瘤に対しては“昼夜を問わず”早期の治療が正当化され得ると結論している.特に内頚動脈血豆状動脈瘤(blister aneurysm)は再出血の独立相関因子であり(文献6),特に即時治療を推奨している.
解離性脳動脈瘤の破裂に対する治療法としては,近年,血管内治療,特にフローダイバージョン(FD)が普及しつつある(文献7-10).本シリーズでも約9割で血管内治療が選択されていたが,その内容は親動脈閉塞48%,FD 26%,コイル26%と,親動脈閉塞の割合が高かった.その理由として著者らは,①後方循環や末梢部位の割合が高かった,②脳室内出血量が多かった,③FD後に必須となるDAPT下での再出血リスクが高いと予測された,④親動脈閉塞の安全性が高い症例が多かったことを推測している.

執筆者: 

有田和徳

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