若年発症くも膜下出血生存者における新生脳動脈瘤の発生リスクは40年で30.2%

公開日:

2026年11月3日  

Lifelong De Novo Aneurysm Risk After Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage in Young Survivors

Author:

Alpkvist P  et al.

Affiliation:

Department of Clinical Neuroscience, Karolinska Institutet, Stockholm, Sweden

⇒ PubMedで読む[PMID:42636016]

ジャーナル名:JAMA Neurol.
発行年月:2026 Oct
巻数:83(10)
開始ページ:973

【背景】

動脈瘤性くも膜下出血(aSAH)における小児および若年成人の割合は低いが,生存者における平均余命は長いので,新規の頭蓋内動脈瘤形成のリスクと危険因子を明らかにすることは重要である.
本研究は,カロリンスカ研究所臨床神経科学部門による,ストックホルム地域在住で1967-2014年に嚢状動脈瘤によるaSAHを発症した患者6,521例のうち40歳未満の986例(15.1%)を対象とした後方視研究である.
適格基準評価後,544例(83.3%)の生存者が解析対象となった.女性313例(57.5%),男性231例(42.5%),年齢中央値(IQR)は33(28-36)歳であった.追跡期間中央値は24.7年,最長は57年であった.

【結論】

この追跡期間中に,106例(19.5%)に158個の新生(de novo)動脈瘤が発生し,発生率は0.771%/人年,このうち21例(23個)が破裂した.Fine-Gray法による累積発生率は40年で30.2%(95% CI,24.7-35.7%)であり,プラトーには達しなかった.多変量Cox回帰解析によれば,独立危険因子は女性(HR 1.76),喫煙歴(HR 1.75),家族歴(HR 2.17)であった.禁煙は,用量反応的な新生動脈瘤リスク低下と関連した.年間動脈瘤破裂率は100,000人年あたり153であった.破裂の3分の1は最初の動脈瘤破裂から20年以上経過して発生した.

【評価】

本研究はストックホルム地域の動脈瘤レジストリを基に,若年時にaSAHを発症した生存者におけるその後の追跡中の新生脳動脈瘤の発生率が,100,000人年あたり771(95% CI,632-933),0.771%/人年であったことを明らかにしている.この頻度は,破裂あるいは未破裂動脈瘤診断後の新生動脈瘤発生率に関する過去の報告(年間0.3-1.8%)の範囲内にある(文献1,2,3).
本研究の著者らは,長期追跡によっても新生脳動脈瘤の発生リスクはプラトーにならず,40年で30.2%に達し,その期間を超えても増加し続けることを強調している.新生動脈瘤発生の独立危険因子は女性,喫煙歴,家族歴で,従来の報告と同様であった(文献1,4-6).
本研究対象では新生動脈瘤を認めた106例中41例(38.7%)が予防的治療を受けていたが,23個(14.5%)の新生動脈瘤が破裂した.aSAH発生率は153/100,000人年となり,一般集団のaSAH発生率の19-28倍であった(文献7,8).これらの結果は,若年aSAH後の生存者に対する,生涯にわたる画像によるサーベイランスと禁煙指導を支持するものである.
しかし,本研究対象患者における新規のaSAH 21例中20例(95%)では,破裂前の画像で新生動脈瘤が検出されていなかったという.新生動脈瘤に対する治療が,この患者集団全体における新規のaSAHのリスクを低下させ得るかどうかは,今後の前向き研究で明らかにされなければならない.

執筆者: 

有田和徳