髄膜腫に対する単独塞栓治療:24報告67例のシステマティックレビュー

公開日:

2026年4月9日  

Standalone Meningioma Embolization: A Systematic Review

Author:

Odland IC  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, Icahn School of Medicine at Mount Sinai, Mount Sinai Hospital, New York, New York, USA

⇒ PubMedで読む[PMID:41660991]

ジャーナル名:Neurosurgery.
発行年月:2026 Feb
巻数:Online ahead of print.
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【背景】

髄膜腫に対する治療の中心は摘出手術であり,栄養動脈塞栓術は手術前の補助療法として用いられることが多い.しかし,稀ながら単独塞栓術が有効な治療選択肢となり得ることが示唆されている(文献1,2,3).ニューヨーク・マウントサイナイ病院脳外科のOdlandらは,塞栓術後2ヵ月以内に摘出術や放射線治療が行われなかった髄膜腫についての34報告121例についてスクリーニングを行った.
121例中67例(24報告)で2ヵ月間以上長期フォローアップ(平均期間15ヵ月,範囲2-72ヵ月)の結果が報告されていたため本システマティックレビュー対象となった.患者の年齢の加重平均は65歳(範囲11-86歳)であった.

【結論】

単独塞栓術の理由が記載されていた59例中50例(85%)は手術不能腫瘍,高齢,手術禁忌などを理由とした緩和的塞栓術であった.症候性患者44例における塞栓術後の症状改善は77%で認められ,MRIフォローアップにおける腫瘍縮小は84%,腫瘍完全消失は5%であった.重篤合併症率(5%)は術前塞栓術の既報(3-6%)と同程度であり,外科的切除のそれ(7-31%)より低かった.死亡は塞栓術後の腫瘍内・硬膜下・くも膜下出血による1例のみ(1.6%)であった.塞栓術後2ヵ月目以降の追加治療は8例で実施された.内訳は摘出術5例,追加塞栓2例,ガンマナイフ1例であった.

【評価】

本システマティックレビューは,摘出術や放射線照射を前提としない,髄膜腫に対する単独塞栓術は,症候性患者の77%で症状軽減または消失をもたらし,MRI上の体積減少は84%,腫瘍完全消失は5%の患者で得られることを報告している.一方,重篤合併症率(5%)は摘出術のそれ(7-31%)より低いことを示している.
人口の高齢化と共に超高齢者やフレイルの患者において髄膜腫が発見されるケースが増えており,全身麻酔下の開頭手術が躊躇される症例も増えている.そのような症例に対する単独塞栓術は将来増加するかもしれない.本稿で示唆された単独塞栓術のメリットは,今後多数例かつ長期の前向き研究で検証される必要がある.
現在ノルウェーにおいて,髄膜腫に対する手術を伴わない単独塞栓術の安全性および有効性を評価する臨床試験(e-men,NCT05416567)が,目標症例数30例,主要評価完了予定2027年で進行中である(文献4).その結果に期待したい."
一方,本研究の対象となった24報告はいずれも対照のない症例報告であり,ガンマナイフなどの定位手術的照射(SRS)との比較はない.髄膜腫に対するガンマナイフ単独治療の有効性もいくつかの報告で示唆されている(文献5-7).単独SRSと単独塞栓術との比較も今後の課題である.

執筆者: 

有田和徳