中枢神経系原発悪性リンパ腫に対するガンマナイフの意義

公開日:

2026年5月6日  

最終更新日:

2026年5月5日

Stereotactic Radiosurgery for Primary Central Nervous System Lymphoma: Results From the International Radiosurgery Research Foundation

Author:

Kite T  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, Allegheny Health Network, Neuroscience Institute, Pittsburgh, Pennsylvania, USA

⇒ PubMedで読む[PMID:41532758]

ジャーナル名:Neurosurgery.
発行年月:2026 Jan
巻数:Online ahead of print.
開始ページ:

【背景】

中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)に対する標準治療としては,大量メトトレキサートを含む多剤併用免疫化学療法,低線量全脳照射などが主体である.しかし,近年では導入化学療法後の再発例や残存病変に対して,さらに初回治療の段階でも,ガンマナイフを使用した例の報告が増えている(文献1,2,3).
本稿はピッツバーグ大学などの世界11施設において,PCNSLに対しガンマナイフ照射が実施された54例127病変の後方視的解析である.照射のタイミング/処方線量中央値はアップフロント群17例:15 Gy,再発・難治群24例:19 Gy,ブースト群13例:15 Gyであった.

【結論】

コホート全体における12ヵ月時点の累積局所制御率および遠隔制御率はそれぞれ75.7%,63.7%であり,OS中央値は18ヵ月(範囲:1-176ヵ月)であった.
12ヵ月時点の累積局所制御率はアップフロント群95.6%,再発・難治群78.3%,ブースト群42.1%であり,群間差があった(p <.0001).
一方,12ヵ月OSは,アップフロント群55.2%,再発・難治群51.3%,ブースト群53.5%と各群同等であった.
放射線壊死の発生率は全コホートでは18.5%で,アップフロント群11.8%,再発・難治群20.8%,ブースト群15.4%であった.

【評価】

本研究は,ピッツバーグ大学などの11施設で実施された原発性中枢神経系リンパ腫(PCNSL)に対するガンマナイフによる定位放射線治療(SRS)54例,127病変の後方視的解析である.37例(68.5%)がSRS前に化学療法(中央値6サイクル)を受けており,11例(20.4%)がSRS前に全脳照射を受けていた.その結果,全体の12ヵ月局所制御率は75.7%であった.特に全体の31.5%(17例)を占めていたアップフロント照射群では12ヵ月間の累積局所腫瘍制御率は95.6%に達していた.かたや12ヵ月時点の遠隔制御率は63.7%,total tumor controlは44.1%にとどまった.アップフロント照射群でも遠隔制御率は58.2%と大きく低下していた.
また,本研究コホートにおける12ヵ月OSは52.9%,OS中央値は18ヵ月であり,現在の標準治療の一つである大量メトトレキサートを含む多剤併用免疫化学療法+低線量全脳照射でのOS中央値が30-60ヵ月に達していることを考えれば(文献4,5,6),ガンマナイフによるアップフロントSRSには少なくとも生存延長効果はなさそうである.ただし,本研究の対象患者において,初期治療として低線量全脳照射ではなくSRSが選択された理由としては,全身あるいは神経症状の悪化の可能性もあり,やはり対照を置いた前向き研究(例:多剤併用免疫化学療法+SRS vs 多剤併用免疫化学療法+低線量全脳照射)が必要と思われる.
一方,SRSの高い局所制御率は注目されて良く,再発・難治病変に対するSRSは患者のADLやQOL向上に寄与する可能性がある.今後,その観点での臨床研究は必要であろう.

執筆者: 

有田和徳