難治性てんかんに対する切除術またはアブレーションとRNSとの併用

公開日:

2026年11月7日  

Combining responsive neurostimulation with resection or ablation for treatment of epilepsy: a multicenter experience

Author:

Ramos LCG  et al.

Affiliation:

Department of Neurological Surgery, Oregon Health & Science University, Portland, Oregon, USA

⇒ PubMedで読む[PMID:42887034]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2026 Oct
巻数:Online ahead of print.
開始ページ:

【背景】

薬剤抵抗性てんかんに対する外科治療は有効であるが,てんかん専門施設に紹介された患者でも,切除やレーザー間質熱凝固療法(LITT)の候補となるのは約3分の1である(文献1).一方,反応性神経刺激療法(RNS)は,発作性脳波活動に応じて発作焦点を電気刺激する治療であり,焦点性てんかんに対する有効性が示されてきた(文献2,3).しかし,多焦点性発作や運動・言語野を含む広範な発作起始部(SOZ)てんかんでは,切除術あるいはRNS単独では十分な治療効果は得がたい.
本稿は,米国の9つの包括的てんかんセンターで,薬剤抵抗性てんかんに対しRNSと切除術またはLITTを同時もしくは90日以内に実施し,術後1年以上追跡した成人73例を後方視的に解析したものである.

【結論】

対象患者の平均年齢34歳,平均罹病期間21.2年であった.併用の理由は機能野の関与67%,多焦点性SOZ 33%であり,89%では同一日に施行した.RNS+切除術は67例(92%),RNS+LITTは6例(8.2%)であった.術後1年の平均発作減少率は意識保持焦点発作53%,意識減損を伴う焦点発作69%,焦点起始両側強直間代発作67%であった.全体の79%が50%以上の発作減少を達成し,48%は追跡中に6ヵ月以上の無発作期間を経験した.患者自身の臨床全般印象度(CGI)では79%が大幅または著明な改善を示した.側頭葉切除・焼灼例の反応率は側頭葉外例より高く(71%対29%,p =0.003),運動野関与例では低かった.

【評価】

本研究の意義は,機能野を温存しつつ切除可能なSOZを除去し,残存する発作ネットワークをRNSで治療するという治療戦略の有効性を9施設73例で示した点にある.本研究において,50%以上の発作減少が得られた患者の割合が約8割,患者自身の臨床全般印象度(CGI)における大幅改善または著明改善であった割合も約8割と高率であったことは注目すべきである.多焦点てんかんに対する切除術とRNSの併用の有効性は既に報告されているが(文献4),本研究は適応・電極設置・発作型別転帰をより体系的に示している.本研究結果は,機能野てんかんにおける併用治療を検討した先行報告とも整合する(文献5).
しかし本研究の最大の問題は,対照群が無い,すなわち切除単独群あるいはRNS単独群がないことである.したがって,併用による上乗せ効果や相乗効果の有無は厳密には判断できない.今後は,切除単独,RNS単独,切除+RNSを比較する前向き多施設研究が必要である.特にSOZが複数存在する例,脳機能野にSOZが重なる例,両側側頭葉起始発作例などを層別化し,各術式の適応を明確にすべきである.

執筆者: 

有田和徳