先端巨大症患者には原因不明の貧血が多い:トルコ・ハジェテペ大学の381例の解析

公開日:

2026年4月11日  

Anemia in acromegaly: Prevalence, etiologies, and predictors from a large tertiary center cohort

Author:

Yazgan BF  et al.

Affiliation:

Department of Internal Medicine, Hacettepe University School of Medicine, Ankara, Türkiye

⇒ PubMedで読む[PMID:41359132]

ジャーナル名:Pituitary.
発行年月:2025 Dec
巻数:29(1)
開始ページ:6

【背景】

GHやIGF-1は腎におけるエリスロポエチン産生を促進するが(文献1,2),実際は,先端巨大症患者では多血症の報告は少なく(文献3,4),むしろ低ヘモグロビン値の報告もある(文献4).トルコ・ハジェテペ大学内科などのチームは,1980年から2018年に入院した先端巨大症患者を対象にこの「矛盾」を検討した.対象は381例(男女ほぼ同数)で,平均年齢は53.9歳,追跡期間中央値は67ヵ月.貧血は,Hbが女性で12.0未満,男性で13.0未満と定義した(単位はg/dL).重症度は,軽症(女性11.0-11.9,男性11.0-12.9),中等症(8.0-10.9),重症(8.0未満)とした.

【結論】

初診時から経過観察期間を通して219例(57.5%)が貧血と診断された.重症度は,軽症45%,中等症11.3%,重症0.8%であった.大部分は正球性貧血(67%)であった.貧血の原因としての鉄欠乏は18.7%のみで,大多数(77.3%)は原因不明であった.周術期データが得られた貧血206例のうち,81例(39.3%)では術前から貧血を認め,125例(60.7%)では術後フォロー中に貧血を発症していた.非貧血群と比較すると,貧血群では浸潤性を伴うマクロアデノーマ,術後の残存腫瘍,および下垂体機能低下症の頻度が高かった.多変量解析ではマクロアデノーマ,SRL注治療,およびT4製剤投与が貧血の独立した予測因子であった.

【評価】

本研究では先端巨大症の患者のうち過半数(57.5%)が経過中に貧血と診断されたわけであるが,この頻度は一般人口における有病率(約24%)(文献5,6)や下垂体腺腫患者全体における有病率(19.8%)(文献7)と比べて著しく高い.ただし,対象の先端巨大症患者全体のうち45.4%は軽症貧血で,中等症・重症は併せて12.1%と少ない.病因別では鉄欠乏は貧血例中18.7%であったが,葉酸欠乏およびビタミンB12欠乏による貧血はなく,大部分が原因不明と診断されている.
貧血群では非貧血群と比較して,女性が多く,発症時年齢が低く,術前病悩期間が長く,術前GH値が高く,術前PRL値が高く,マクロアデノーマが多く,海綿静脈洞浸潤が多く,SRL注の使用例が多く,術後腫瘍残存が多く,下垂体機能低下が多く,T4製剤などのホルモン補充を受けている症例が多かった.一方,多変量解析では,マクロアデノーマ,SRL注治療,およびT4製剤投与が貧血の独立した予測因子であった.
先端巨大症患者における貧血の存在はあまり気にしたことはないが,貧血の有無はルーチンの採血結果で容易に判明するので,注目していきたいと思う.
本研究の大きな問題は,治療前と治療後の症例が一括りで解析の対象となっていることで,何が貧血の原因となっているのか正確にはわからない.まずは初診時に無治療の症例のみを対象として貧血の頻度と重症度,それらと相関する因子を検討すべきであろう.そして,手術のみを行った症例で貧血がどうなるのか,悪化あるいは改善に寄与する因子は何かを検討すべきであろう.
こうした点に配慮しながら,本研究の結果が他施設の症例で検証されることを望む.

執筆者: 

有田和徳